全身麻酔薬は、痛みの除去・意識の消失・骨格筋の弛緩などを目的として外科手術で使用される薬剤である。
血流を介して全身に分布し、中枢神経系に対する親和性が高い。
全身麻酔薬の作用順序は、大脳皮質 → 間脳 → 中脳 → 脊髄 → 延髄の順に作用が広がる「不規則的下行性麻痺」を示す。これは、脊髄に作用が及んだ後に延髄に達するため、手術中に用いられる一般的なパターンである。
一方、大脳皮質 → 間脳 → 中脳 → 延髄 → 脊髄の順で進む場合を「規則的下行性麻痺」という。
この場合は延髄(生命維持に重要な呼吸中枢・循環中枢)が早期に抑制されるため、全身麻酔には適さない。
モルヒネは延髄への直接作用が強く、この順序をとるため全身麻酔薬としては用いられない。
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| 麻痺の種類 | 作用が及ぶ順序 | 特徴・臨床上の意義 |
| 不規則的 下行性麻痺 | 大脳皮質 → 間脳 →中脳 → 脊髄 → 延髄 | 脊髄に作用後、延髄に至るため生命中枢 の抑制が遅く、安全性が高く外科手術で使用される |
| 規則的 下行性麻痺 | 大脳皮質 → 間脳 →中脳 → 延髄 → 脊髄 | 延髄を早期に抑制し、呼吸・循環への影響が大きく 全身麻酔には不適。例:モルヒネ |






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