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リピドA

リピドA(Lipid A)は、グラム陰性細菌の細胞壁外膜に存在するリポ多糖(LPS: Lipopolysaccharide)の一部であり、エンドトキシン活性の主因となる構造成分である。
リピドAは炎症反応の誘発や免疫系への影響において重要な役割を果たす。

特徴

  1. 構造
    • リピドAは、グルコサミンに脂肪酸が結合した構造を有する。
    • 主に以下の成分から構成されます:
      • 糖鎖部分:グルコサミンの二量体。
      • 脂肪酸鎖:疎水性を持ち、外膜の安定性に寄与。
  2. 機能
    • リポ多糖(LPS)の構造基盤としてグラム陰性細菌の外膜を安定化。
    • 生物学的活性を持つ部位としてエンドトキシンの毒性を担う。
  3. 免疫系への影響
    • TLR4受容体:リピドAはヒトの免疫細胞表面にあるToll様受容体4(TLR4)と結合し、炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α、IL-6など)の大量放出を引き起こす。
    • 適度な刺激は免疫反応を活性化するが、過剰な刺激は全身性炎症や敗血症性ショックを引き起こす可能性がある。

臨床的意義

  1. エンドトキシンショック
    • リピドAが血中に放出されることで、免疫系が過剰反応し、敗血症性ショックに至る可能性がある。
    • この反応は感染症や細菌感染に伴う治療(抗菌薬投与時など)で起こりやすい。
  2. 治療と制御
    • 抗菌薬:細菌の増殖を抑制するが、リピドA放出を伴う場合がある。
    • 免疫抑制薬:過剰な免疫反応を抑える。

リピドAは、細菌にとっては生存に必須の構造成分である一方、宿主の免疫応答において中心的な役割を果たす分子であり、その生理的影響を理解することは、感染症や炎症疾患の治療において重要である。

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