リソソーム(Lysosome)は、真核細胞の細胞質内に存在する膜で囲まれた小型の細胞小器官であり、細胞内の分解・リサイクルセンターとして機能する。主に酵素を利用して不要な物質や老化した細胞成分を分解し、細胞の恒常性維持に寄与する。
リソソームの構造
- 単一膜構造
- リソソームは一重の膜で囲まれ、その内部には多種類の分解酵素(加水分解酵素)が含まれている。これらの酵素は主に酸性条件下で活性化される。
- 内部環境
- 内部はpH 4.5~5程度の酸性環境で、リソソーム内の分解酵素が最適に機能する条件が整えられている。
- この酸性環境は膜に存在するプロトンポンプによって維持されている。
- 加水分解酵素
- 含まれる酵素は、たんぱく質、核酸、脂質、炭水化物を分解する役割を果たす。
- 例:プロテアーゼ(たんぱく質分解)、ヌクレアーゼ(核酸分解)、リパーゼ(脂質分解)。
- 含まれる酵素は、たんぱく質、核酸、脂質、炭水化物を分解する役割を果たす。
リソソームの機能
- 細胞内の廃棄物処理
- 老化した細胞小器官(例:ミトコンドリア)や不要になった分子を取り込み、分解して再利用可能な形に変換する。
- エンドサイトーシスの処理
- 細胞外から取り込まれた物質(食作用や飲作用で取り込まれた異物など)を分解する。
- 自己貪食(オートファジー)
- 細胞内の不要な成分や損傷を受けた小器官を分解し、再利用する。
- これは、細胞のストレス応答や飢餓条件下で特に重要である。
- 細胞防御
- 細菌やウイルスなどの病原体を捕捉し、分解することで細胞を保護する。
- 分解産物の再利用
- 分解された物質は、アミノ酸、脂肪酸、糖などの基本成分として細胞の他の部分で利用される。
リソソームの形成
- リソソームは主にゴルジ体で生成される。
- 加水分解酵素は、粗面小胞体で合成され、ゴルジ体を経由してリソソームへ送られる。
リソソームの意義
リソソームは、細胞が正常に機能するために不可欠な小器官である。その役割は単なる廃棄物処理にとどまらず、細胞内環境の恒常性維持やストレス応答、病原体への防御機能など、多岐にわたる。これにより、細胞が長期にわたり健康を保つことが可能になる。




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