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ミオグロビン(Myoglobin)

ミオグロビンは、筋肉組織内で酸素を貯蔵する役割を持つ酸素結合タンパク質の一種である。特に哺乳類や鳥類の心筋や骨格筋で多く見られ、筋肉が酸素を必要とする際に酸素を供給することで、エネルギーの効率的な産生を助ける。

ミオグロビンの基本的な特徴

  • 構造
    • ミオグロビンは1本鎖のタンパク質である。
    • 分子内にヘム基(ポルフィリン環に鉄イオンが結合した部分)を含む。
    • ヘム基内の鉄イオン(Fe2+)が酸素(O₂)と可逆的に結合することで、その機能を発揮する。
  • 主な存在部位
    • 骨格筋(特に赤筋:持久力が必要な筋肉)。
    • 心筋(心臓の筋肉)。
  • 色素としての役割
    • ミオグロビンのヘム基は赤色を呈し、筋肉の色(赤身)を決定づける要因の一つである。

ミオグロビンの機能

  1. 酸素の貯蔵
    • 筋肉内で酸素を蓄える機能を持ち、酸素が不足する環境下(例えば運動中)で供給源として働く。
    • 特に長時間の運動や低酸素環境下での持久力の向上に重要。
  2. 酸素の輸送
    • ミオグロビンは筋細胞内で酸素を受け取り、ミトコンドリアに供給する。
    • ミトコンドリアでは酸素を利用してATP(エネルギー)を生成するため、ミオグロビンはエネルギー代謝をサポートする。
  3. 酸素結合能の特性
    • ミオグロビンは酸素と非常に高い親和性を持つため、筋肉内で酸素を効率的に蓄えることができる。
    • その酸素結合曲線はヘモグロビンよりも急峻で、低酸素状態での酸素供給が可能である。

ヘモグロビンとの違い

特徴 ミオグロビン ヘモグロビン
構造 単一のポリペプチド鎖と1つのヘム基 4つのポリペプチド鎖と4つのヘム基
役割 筋肉内で酸素を貯蔵し、供給する 血液中で酸素を全身の組織に運搬
結合特性 酸素親和性が高く、単一の酸素分子と結合 協調性を持ち、酸素と可逆的に結合
主な存在場所 筋肉(骨格筋・心筋) 赤血球

ミオグロビンと健康

  1. ミオグロビンの重要性
    • 持久力が必要な活動(例:長距離ランニング、登山)では、筋肉内のミオグロビンが酸素供給を補助し、パフォーマンス向上に寄与する。
  2. 病的状態
    • 横紋筋融解症:筋肉の損傷によりミオグロビンが血中に漏出し、腎臓に負担をかけることで急性腎障害を引き起こす可能性がある(ミオグロビン尿症)。

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