フェーリング試薬は、アルデヒド基を持つ化合物を検出するために用いられる銅(II)イオンを含む試薬である。
1. 反応の原理
- フェーリング試薬は、還元性物質と反応すると銅(II)イオン(青色)が銅(I)酸化物(赤色沈殿)に還元される。
- これは、アルデヒド基()が還元性を持つため、銅(II)イオンを銅(I)イオンに還元することによる。
酸化還元反応
2. フェーリング反応を示す化合物
フェーリング試薬は、以下の物質の検出に使用される。
(1) 還元性糖
- 単糖類(グルコース、ガラクトース、フルクトースなど)
- グルコース(ブドウ糖):陽性
- フルクトース(果糖):陽性(アルカリ条件でエノール化し、還元性を示す)
- 二糖類
- マルトース(麦芽糖):陽性
- ラクトース(乳糖):陽性
- スクロース(ショ糖):陰性(還元性を持たない)
(2) アルデヒドを含む化合物
- ホルムアルデヒド(HCHO)
- アセトアルデヒド(CH₃CHO)
(3) その他の還元性化合物
- 一部のフェノール類や還元性ビタミン(ビタミンCなど)
4. フェーリング試薬の用途
(1) 糖の検出
フェーリング反応は、尿中の糖の検出(糖尿病の診断) や 食品中の糖分析 に利用される。
(2) アルデヒドの検出
有機合成や分析化学において、アルデヒドの存在を確認するために使用される。
4. フェーリング試薬と類似試薬
フェーリング試薬と類似したアルデヒドの検出試薬としてトレンス試薬(銀鏡反応)がある。
試薬 | 陽性反応 |
---|---|
フェーリング試薬 | 赤色沈殿() |
トレンス試薬 | 銀鏡(Agメッキ) |
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