トロポニンCは、筋収縮における調節因子として重要なタンパク質であり、**横紋筋(骨格筋および心筋)**においてカルシウム(Ca2+)を結合する役割を果たす。トロポニン複合体の一部として機能し、筋収縮の開始に必要な信号伝達に関与している。

構造と機能
- トロポニンCの構造
- 約160個のアミノ酸から構成される小さなタンパク質。
- カルシウム結合部位を持つ。
- 骨格筋と心筋で少し異なるアイソフォームが存在する。
- 骨格筋型: 急速な収縮に適応。
- 心筋型: 持続的で安定した収縮に適応。
- 筋収縮の調節
- カルシウム結合により、トロポニンCはトロポニンIを抑制し、トロポニンTを介してトロポミオシンの位置を移動させる。
- トロポミオシンが移動すると、アクチンフィラメント上のミオシン結合部位が露出し、アクチンとミオシンの相互作用が可能になる。
- これにより筋収縮が開始される。
役割
- カルシウムセンサー
- 筋収縮の開始を決定する中心的な役割を果たす。
- 筋細胞内のカルシウム濃度の変化を感知して、収縮と弛緩を切り替える。
- 筋弛緩への関与
- 筋細胞内のカルシウム濃度が低下すると、トロポニンCはカルシウムを放出し、アクチン-ミオシン相互作用が阻害されて筋弛緩が起こる。
- 心拍調節
- 心筋におけるトロポニンCは、心拍数や心筋収縮力の調節に関与する。
- カルシウム感受性の調整により、心臓の機能を適応させる。
異常と疾患
- トロポニンの変異
- トロポニンCやトロポニン複合体の他のサブユニットに遺伝的変異がある場合、心筋や骨格筋の収縮異常が生じることがある。
- 心筋症(肥大型心筋症や拡張型心筋症)の原因となる場合がある。
- 心筋梗塞におけるトロポニン
- 臨床的には、心筋梗塞の診断にトロポニンIやトロポニンTが血中マーカーとして利用される。
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