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シトシン(Cytosine)

シトシン(Cytosine)は、ピリミジン塩基に分類される有機化合物で、DNAやRNAを構成する塩基である。遺伝情報の保存や伝達に関わる核酸の基本成分として重要な役割を果たす。また、エネルギー代謝や細胞シグナル伝達にも関与する物質である。

1. 基本情報

  • 化学式: C₄H₅N₃O
  • 構造:
    シトシンは、ピリミジン環にアミノ基(NH₂)とカルボニル基(C=O)を持つ構造を有する。
  • 分子量: 111.10 g/mol
  • 性質: 水に溶けやすく、塩基性を示す化合物。

2. 生体内での役割

2.1 核酸(DNA・RNA)の構成成分

  • シトシンは、DNAとRNAの両方に存在する塩基の1つであり、DNAではグアニン(G)と特異的に3本の水素結合を形成する(G-C塩基対)。
  • このG-C塩基対は、A-T(またはA-U)塩基対よりも強い結合力を持ち、DNAの二重らせん構造を安定させる。

2.2 RNAでの役割

  • RNAでもシトシンはグアニンと結合し、遺伝情報の伝達やタンパク質合成の過程に寄与する。

2.3 エネルギー代謝への関与

  • シトシンは、シチジン三リン酸(CTP)の構成成分として、エネルギー代謝やリン脂質の合成、細胞膜の構築に関与する。

3. シトシンの生成と代謝

  • シトシンは、生体内でデノボ合成経路サルベージ経路によって生成される。
    • デノボ合成: ウラシルやチミンと同様に、ピリミジン環の前駆体から合成される。
    • サルベージ経路: シトシンが核酸分解産物から再利用される。

4. シトシンの損傷と修復

4.1 化学変化(脱アミノ化)

  • シトシンは、化学変化(脱アミノ化)を受けるとウラシルに変化することがある。
    • この変化は、DNAの塩基配列に突然変異を引き起こす可能性がある。
    • 生体には、このような異常を修復するDNA修復機構(塩基除去修復)が備わっている。

4.2 酸化ストレス

  • シトシンは酸化ストレスによる損傷を受けやすく、損傷が修復されない場合、遺伝子変異やがんの原因となることがある。

5. 関連疾患

  • がん: シトシン塩基のメチル化(エピジェネティクス制御)が異常をきたすと、がん細胞の発生や進行に関与することがある。
  • 遺伝疾患: シトシンの代謝や修復異常は、遺伝子変異や疾病に関連する。

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