システイン（Cys、C：Cysteine）

システインは、硫黄を含む含硫アミノ酸の一種で、化学式は C₃H₇NO₂S である。非必須アミノ酸であり、体内で合成可能であるが、特定の条件下では外部から摂取が必要になる場合がある。システインは、特に細胞内で重要な役割を果たし、抗酸化作用やタンパク質の構造形成において重要である。

構造と性質

1. 構造：
   • システインは、アミノ基（-NH₂）、カルボキシル基（-COOH）、水素原子、およびチオール基（-SH）を含む側鎖を持つアミノ酸である。側鎖に含まれる硫黄原子は、システインの特性に重要な役割を果たす。
2. 性質：
   • 極性アミノ酸で、側鎖に存在するチオール基（-SH）が水溶性の特徴を示す。これにより、水に溶けやすく、特定の酵素や分子と結合することが可能となる。

生理的役割

1. 抗酸化作用：
   • システインは、抗酸化物質であるグルタチオンの合成に必須のアミノ酸である。グルタチオンは細胞を酸化ストレスから保護し、体内のフリーラジカル（活性酸素）による損傷を防ぐ。
2. タンパク質の構造：
   • システインのチオール基（-SH）は、タンパク質の二次構造（特にジスルフィド結合）を形成する役割を有する。このジスルフィド結合は、タンパク質が適切に折りたたまれ、安定するために重要である。
3. 解毒作用：
   • システインは、体内で毒素を解毒する過程において重要な役割を果たす。特に解毒酵素や肝臓での酵素反応において重要である。
4. 硫黄供給源：
   • システインは、体内の硫黄供給源となり、硫黄を必要とするさまざまな酵素や代謝過程において重要な役割を果たす。

栄養学的側面

1. 非必須アミノ酸：
   • システインは非必須アミノ酸として分類され、体内で他のアミノ酸（メチオニンなど）から合成できる。しかし、メチオニンが不足している場合や、特定の病気やストレス下では外部から摂取する必要がある。
2. 食品中の供給源：
   • システインは多くの高タンパク質食品に含まれる。以下の食品に多く含まれています：
     • 肉類、魚、卵
     • ナッツ、種実類
     • 豆類（特に大豆）
     • 乳製品