グルタミン(Gln, Q)は、タンパク質を構成するアミノ酸の一つで、化学式は C5H10N2O3 である。非必須アミノ酸に分類される。グルタミンは、エネルギー供給や窒素代謝、免疫機能など多岐にわたる生理的役割を担っている。
構造と性質
- 構造:
- グルタミンは、グルタミン酸の側鎖のカルボキシル基(-COOH)がアミド基(-CONH2)に変換された形をしている。
- アミド基を持つため、親水性が高いアミノ酸である。
- 性質:
- 水溶性が高く、血液や細胞内で容易に輸送・代謝される。
- 中性のpHでは電荷を持たず、安定した形態を保っている。
生理的役割
- エネルギー供給:
- グルタミンは、腸管上皮細胞や免疫細胞のエネルギー源として重要である。
- 窒素代謝:
- 体内での窒素輸送において中心的な役割を果たす。
- 筋肉で生成されたグルタミンは、血液を通じて他の臓器(腸、腎臓、肝臓など)に窒素を供給する。
- 免疫機能:
- 免疫細胞(リンパ球やマクロファージ)の増殖や活性化に必要である。
- 免疫機能が低下する状況(感染症や手術後)では、グルタミンの需要が増大する。
- 酸塩基平衡の調節:
- 腎臓でグルタミンが分解されるとアンモニアが生成され、尿中に排泄される。この過程により、体内の酸塩基平衡が調節される。
- タンパク質・核酸合成:
- 抗酸化機能:
- グルタミンは、抗酸化物質であるグルタチオンの前駆体であり、細胞の酸化ストレスからの保護に寄与する。
栄養学的側面
- 条件的必須アミノ酸:
- 通常は体内で合成可能な非必須アミノ酸ですが、ストレスや外傷、手術後、感染症時には需要が供給を上回るため、外部からの補給が必要となる場合がある。
- 食品中の供給源:
- グルタミンは以下の食品に多く含まれます:
- 肉類、魚介類
- 大豆や豆類
- 乳製品(ヨーグルト、チーズなど)
- 全粒穀物
- ほうれん草やキャベツなどの野菜
- グルタミンは以下の食品に多く含まれます:
- サプリメント:
- 運動後の筋肉回復や免疫強化を目的として、アスリートや入院患者にグルタミンサプリメントが使用されることがある。
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