◉名称、化学構造
一般名:イトラコナゾール
商品名:イトリゾール
◉分類
抗真菌薬
◉効能・効果
【適応菌種】
皮膚糸状菌(トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)、カンジダ属、マラセチア属、アスペルギルス属、クリプトコックス属、スポロトリックス属、ホンセカエア属
【適応症】
- 内臓真菌症(深在性真菌症)
真菌血症、呼吸器真菌症、消化器真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎 - 深在性皮膚真菌症
スポロトリコーシス、クロモミコーシス - 表在性皮膚真菌症(爪白癬以外)
白癬:体部白癬、股部白癬、手白癬、足白癬、頭部白癬、ケルスス禿瘡、白癬性毛瘡
カンジダ症:口腔カンジダ症、皮膚カンジダ症、爪カンジダ症、カンジダ性爪囲爪炎、カンジダ性毛瘡、慢性皮膚粘膜カンジダ症、癜風、マラセチア毛包炎 - 爪白癬
◉薬理作用
真菌のチトクロームP450に特異的に作用して、真菌の細胞膜の主要構成脂質であるエルゴステロールの生合成を阻害する。イトラコナゾールは哺乳類由来のチトクロームP450には影響が少なかった。
◉使用する際の注意
【効果共通】
- 本剤の投与に際しては、肝疾患の既往歴、薬物過敏症、アレルギー既往歴等について十分な問診を行い、これらの現症又は既往歴のある患者については、投与中止又は慎重投与について考慮する。
- 肝障害、胆汁うっ滞、黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うことが望ましい。
- 本剤投与開始にあたっては、あらかじめワルファリン服用の有無を確認し、ワルファリンと併用する場合は、プロトロンビン時間測定及びトロンボテストの回数を増やすなど慎重に投与する。
- 低カリウム血症があらわれることがあるので、定期的に血中電解質検査を行う。
【内臓真菌症(深在性真菌症)】
- イトラコナゾール注射剤から本剤400mg/日長期継続投与へ切り替えた場合、高い血中濃度が持続するので、投与期間中には、血液検査等を定期的に行うことが望ましい。
【爪白癬(パルス療法)】
- 本剤は投与終了後も爪甲中に長期間貯留することから、効果判定は爪の伸長期間を考慮して行う。
◉相互作用
◉薬物動態学的相互作用の要因
- 本剤は、主に肝チトクロームP450 3A4(CYP3A4)によって代謝される。また、本剤は、CYP3A4及びP糖蛋白に対して阻害作用を示す。他の薬剤との相互作用はすべての薬剤との組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤による治療中に新たに本剤を併用したり、本剤による治療中に新たに他の薬剤を併用する場合には、患者の状態を十分観察し、慎重に投与する。また、本剤投与終了後の血漿中薬物濃度は、本剤の投与量及び投与期間に応じて徐々に低下するため、本剤によって代謝が影響される薬剤の投与開始に際しては患者の状態を十分に観察し、慎重に投与する。なお、パルス療法中の患者において休薬期間中に新たに他の薬剤を併用する場合にも、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与する。
- 胃酸分泌抑制薬により本剤の溶解性が低下し、吸収が低下する。
◉副作用
◉主な副作用
肝機能異常、胃不快感、嘔気、発疹、腹痛、鼓腸放屁(腸にガスがたまって張る)、下痢など
◉重大な副作用[初期症状]
うっ血性心不全、肺水腫
[全身のむくみ、吐き気、呼吸困難]肝障害、胆汁うっ滞、黄疸
[全身倦怠感、食欲不振、皮膚や粘膜などの黄染(黄色くなる)]中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、急性汎発性発疹性膿疱症、剥脱性皮膚炎、多形紅斑
[高熱(38℃以上)、眼の充血(じゅうけつ)、くちびるのただれ、皮膚の広い範囲が赤くなる]ショック、アナフィラキシー
[呼吸困難、蕁麻疹、意識障害]間質性肺炎
[発熱、から咳、呼吸困難]低カリウム血症
[脱力感、四肢の麻痺、意識障害(頻脈など)]
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