γ壊変は、放射性崩壊の一種で、原子核が高エネルギーの励起状態からより低いエネルギー状態(または基底状態)に遷移する際に、ガンマ線(γ線)を放出する現象である。γ壊変は、核反応や他の崩壊(α壊変、β壊変)後に発生することが多く、原子核のエネルギーが安定するための過程である。
1. γ壊変の基本的な仕組み
1.1 エネルギーの放出
- 原子核が励起状態(エネルギーが高い不安定な状態)にある場合、余分なエネルギーを放出して安定化する。この際、電磁波の一種であるガンマ線が放出される。
1.2 原子核の変化
- γ壊変では、質量数や原子番号は変化しない。変化するのは、原子核のエネルギー状態のみである。
2. γ壊変の特徴
2.1 ガンマ線の性質
- ガンマ線は波長が非常に短く、高いエネルギーを持つ電磁波である(通常、100 keV以上のエネルギー)。
- 電磁波であるため、電荷を持たず、物質を透過する能力が非常に高い。
2.2 放出のタイミング
- γ壊変は、α壊変やβ壊変など他の放射性崩壊が起こった後に、娘核が励起状態にある場合に起こる。
3. γ壊変の種類
3.1 単純なγ壊変
- 高いエネルギーを持つ励起状態から低いエネルギー状態への遷移。
3.2 内部転換
- γ壊変と競合する現象で、励起状態のエネルギーがガンマ線として放出される代わりに、電子軌道の電子(通常はK殻)が核のエネルギーを受け取り、放出される(内部転換電子)。
3.3 核異性体遷移
- 特定の長寿命の励起状態から、γ壊変を通じて基底状態に遷移する現象。
4. γ壊変の応用
4.1 医療分野
- 診断用放射性医薬品: ヨウ素-131やテクネチウム-99mがγ壊変を利用した医療診断に使用されている。
5. γ壊変と人体への影響
5.1 放射線の影響
- γ線は透過力が高く、体内の深部に到達するため、細胞やDNAに損傷を与える可能性がある。
- 医療や工業で利用される場合、被ばく量は厳密に管理される。
5.2 放射線防護
- γ線の遮蔽には鉛やコンクリートなどの高密度材料が使用される。




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