α-ケトグルタル酸(α-Ketoglutaric Acid, α-KG)は、炭素数5の有機酸であり、生体内のエネルギー代謝やアミノ酸代謝において重要な役割を果たす中間体である。クエン酸回路(TCA回路)の一部としてATPの生成に寄与し、またアミノ酸の合成や分解、窒素代謝においても中心的な機能を有する。
1. 基本情報
- 化学式: C₅H₆O₅
- 構造式: HOOC-CH₂-CH₂-CO-COOH
- 分子量: 146.11 g/mol
- 性質: 水溶性で、カルボキシル基(COOH)とケト基(C=O)を持つ化合物。
2. 生体内での役割
2.1 クエン酸回路(TCA回路)
- α-ケトグルタル酸は、クエン酸回路の中間体であり、以下の反応に関与する:
- イソクエン酸の酸化脱炭酸によって生成されます。イソクエン酸→αケトグルタル酸+CO2+NADH
- 次の反応でスクシニルCoAに変換され、ATP合成に寄与します。αケトグルタル酸+CoA+NAD+→スクシニルCoA+CO2+NADH
- イソクエン酸の酸化脱炭酸によって生成されます。イソクエン酸→αケトグルタル酸+CO2+NADH
2.2 アミノ酸代謝
- α-ケトグルタル酸は、アミノ基転移反応の中心的な受容体として機能します。
- 例: グルタミン酸との反応。
- この反応は、窒素代謝やアミノ酸の合成・分解に重要である。
- 例: グルタミン酸との反応。
2.3 窒素代謝とアンモニア排出
- α-ケトグルタル酸は、グルタミン酸からアミノ基を受け取り、アンモニア(NH₃)を尿素サイクルに送り出す。
3. 合成と代謝
合成
- α-ケトグルタル酸は、クエン酸回路内でイソクエン酸デヒドロゲナーゼにより生成される。
- また、特定のアミノ酸(プロリン、グルタミン酸など)の代謝によっても生成される。
代謝
- α-ケトグルタル酸は、スクシニルCoAへの変換を経て、エネルギー産生に利用される。
- アミノ酸代謝や糖新生経路にも関与する。
4. 調節機構
- α-ケトグルタル酸の濃度は、クエン酸回路の需要、NADH/NAD⁺比、アセチルCoAの濃度によって調整される。
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