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P糖タンパク質(P-glycoprotein, P-gp)

P糖タンパク質(P-glycoprotein, P-gp)は、ATP依存性の膜輸送タンパク質であり、細胞膜を通じて薬物や異物を細胞外へ排出する働きを有する。多剤耐性タンパク質(MDR1, Multidrug Resistance Protein 1)とも呼ばれ、薬物の吸収、分布、排出に重要な役割を果たしている。

1. P糖タンパク質の構造と機能

1.1. 構造

  • P糖タンパク質は、ABC(ATP-binding cassette)トランスポーターの一種であり、ATPの加水分解をエネルギー源として基質を輸送する。
  • 2つのATP結合ドメイン2つの膜貫通ドメインを持つ。

1.2. 機能

  • 細胞内に取り込まれた薬物や異物を細胞外へ排出することで、細胞を保護する。
  • 薬物耐性の獲得に関与し、特にがん細胞では抗がん剤を排出することで多剤耐性(MDR, Multidrug Resistance)を引き起こす。

2. P糖タンパク質の発現部位

P糖タンパク質は、以下の組織で発現し、薬物の動態(ADME)に影響を与える。

発現部位 役割
腸管上皮細胞 経口薬物の吸収を抑制(小腸からの排出)
血液脳関門(BBB) 脳への薬物移行を制限
肝細胞(肝胆管側) 胆汁中への薬物排出促進
腎尿細管上皮細胞 尿中への薬物排出促進
胎盤 胎児への薬物移行を制限

3. P糖タンパク質の基質

P糖タンパク質は、脂溶性かつ高分子量の薬物を基質とする。主な基質として以下が挙げられる。

  • 抗がん剤:ドキソルビシン、ビンクリスチン、パクリタキセル
  • 免疫抑制剤:シクロスポリン、タクロリムス
  • 抗ウイルス薬:リトナビル、インジナビル
  • カルシウム拮抗薬:ベラパミル
  • 抗生物質:エリスロマイシン

4. P糖タンパク質の阻害・誘導

P糖タンパク質の阻害や誘導は、薬物の吸収や排出に影響を与え、薬物相互作用の原因となる。

4.1. P糖タンパク質の阻害剤

P糖タンパク質の機能を阻害すると、基質薬物の体内蓄積が増加し、効果や副作用が増強する。

  • 阻害剤の例
    • ベラパミル(Ca拮抗薬)
    • シクロスポリン(免疫抑制剤)

4.2. P糖タンパク質の誘導剤

P糖タンパク質の発現が増加すると、基質薬物の排出が促進され、効果が減弱する。

  • 誘導剤の例
    • リファンピシン(抗結核薬)
    • セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)

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