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HDL(High-Density Lipoprotein、高密度リポタンパク質)

HDL(High-Density Lipoprotein、高密度リポタンパク質)は、血液中でコレステロールを運ぶリポタンパク質の一種であり、「善玉コレステロール」として知られている。HDLは、血管内壁に蓄積した余分なコレステロールを回収して肝臓に運び、体外へ排泄する役割を果たすため、動脈硬化や心血管疾患のリスク低下に寄与する。

HDLの構造と特性

  1. 構成成分
    • 主成分は、アポリポタンパク質(ApoA-I、ApoA-IIなど)、リン脂質、遊離コレステロール、トリアシルグリセロールなど。
  2. サイズと密度
    • HDLは高密度(1.063〜1.210 g/mL)であり、リポタンパク質の中で最も小型(直径5〜15nm)である。
  3. 両親媒性
    • リン脂質や遊離コレステロールが外側を覆い、脂質部分が内側に収納される球状構造を持つ。

HDLの機能

  1. 逆コレステロール輸送(Reverse Cholesterol Transport, RCT)
    • HDLは、末梢組織や動脈壁に蓄積した余分なコレステロールを回収し、肝臓へ運ぶ。
    • 回収されたコレステロールは、肝臓で胆汁酸に変換され、胆汁として排泄される。
  2. 抗炎症作用
    • HDLは、炎症性サイトカインの抑制や酸化ストレスの軽減に寄与し、動脈硬化の進行を防ぐ。
  3. 抗酸化作用
    • HDLに含まれる酵素が、酸化LDL(悪玉コレステロール)の生成を防ぐ。
  4. 内皮機能の保護
    • 血管内皮の健康を維持し、血管の拡張と血流改善を促進する。
  5. 血小板活性の抑制
    • HDLは血小板の凝集を抑制し、血栓形成のリスクを低下させる。

HDLコレステロールの正常値

  • 成人の血中HDLコレステロール基準値は、40〜60 mg/dL程度が望ましいとされる。
    • 低HDLコレステロール血症:40 mg/dL未満(動脈硬化のリスク増加)
    • 高HDLコレステロール血症:60 mg/dL以上(心血管疾患リスクの低下と関連)

HDLコレステロールを増加させる方法

  1. 生活習慣の改善
    • 運動:有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング)や筋力トレーニングがHDLを増加させる。
    • 禁煙:喫煙をやめることでHDLレベルが上昇する。
    • 適正体重の維持:肥満を解消することでHDLが改善する。
  2. 食事療法
    • 不飽和脂肪酸の摂取を増やす(例:オメガ3脂肪酸を含む魚、ナッツ、アボカド)。
    • 食物繊維を多く含む食品(野菜、果物、全粒穀物)を摂取する。
    • トランス脂肪酸や飽和脂肪酸の摂取を減らす。
    • 薬物療法
      • HDLを増加させる薬剤(フィブラート製剤、ナイアシンなど)が一部使用される場合があるが、リスクと利益を慎重に評価する必要がある。

    HDL低下が及ぼす影響

    1. 動脈硬化の進行
      • HDLが不足すると、コレステロールの回収機能が低下し、動脈壁にコレステロールが蓄積してプラークが形成される。
    2. 心血管疾患のリスク増加
      • 心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まる。
    3. 代謝疾患の悪化
      • HDL低下は、糖尿病や脂質異常症と関連する。

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