HDL(High-Density Lipoprotein、高密度リポタンパク質)は、血液中でコレステロールを運ぶリポタンパク質の一種であり、「善玉コレステロール」として知られている。HDLは、血管内壁に蓄積した余分なコレステロールを回収して肝臓に運び、体外へ排泄する役割を果たすため、動脈硬化や心血管疾患のリスク低下に寄与する。
HDLの構造と特性
- 構成成分
- 主成分は、アポリポタンパク質(ApoA-I、ApoA-IIなど)、リン脂質、遊離コレステロール、トリアシルグリセロールなど。
- サイズと密度
- HDLは高密度(1.063〜1.210 g/mL)であり、リポタンパク質の中で最も小型(直径5〜15nm)である。
- 両親媒性
- リン脂質や遊離コレステロールが外側を覆い、脂質部分が内側に収納される球状構造を持つ。
HDLの機能
- 逆コレステロール輸送(Reverse Cholesterol Transport, RCT)
- HDLは、末梢組織や動脈壁に蓄積した余分なコレステロールを回収し、肝臓へ運ぶ。
- 回収されたコレステロールは、肝臓で胆汁酸に変換され、胆汁として排泄される。
- 抗炎症作用
- HDLは、炎症性サイトカインの抑制や酸化ストレスの軽減に寄与し、動脈硬化の進行を防ぐ。
- 抗酸化作用
- HDLに含まれる酵素が、酸化LDL(悪玉コレステロール)の生成を防ぐ。
- 内皮機能の保護
- 血管内皮の健康を維持し、血管の拡張と血流改善を促進する。
- 血小板活性の抑制
- HDLは血小板の凝集を抑制し、血栓形成のリスクを低下させる。
HDLコレステロールの正常値
- 成人の血中HDLコレステロール基準値は、40〜60 mg/dL程度が望ましいとされる。
- 低HDLコレステロール血症:40 mg/dL未満(動脈硬化のリスク増加)
- 高HDLコレステロール血症:60 mg/dL以上(心血管疾患リスクの低下と関連)
HDLコレステロールを増加させる方法
- 生活習慣の改善
- 運動:有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング)や筋力トレーニングがHDLを増加させる。
- 禁煙:喫煙をやめることでHDLレベルが上昇する。
- 適正体重の維持:肥満を解消することでHDLが改善する。
- 食事療法
- 不飽和脂肪酸の摂取を増やす(例:オメガ3脂肪酸を含む魚、ナッツ、アボカド)。
- 食物繊維を多く含む食品(野菜、果物、全粒穀物)を摂取する。
- トランス脂肪酸や飽和脂肪酸の摂取を減らす。
- 薬物療法
- HDLを増加させる薬剤(フィブラート製剤、ナイアシンなど)が一部使用される場合があるが、リスクと利益を慎重に評価する必要がある。
HDL低下が及ぼす影響
- 動脈硬化の進行
- HDLが不足すると、コレステロールの回収機能が低下し、動脈壁にコレステロールが蓄積してプラークが形成される。
- 心血管疾患のリスク増加
- 心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まる。
- 代謝疾患の悪化
- HDL低下は、糖尿病や脂質異常症と関連する。




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