第103回薬剤師国家試験」カテゴリーアーカイブ

第103回薬剤師国家試験 問26

Gqタンパク質と共役してホスホリパーゼCを活性化する受容体はどれか。1つ選べ。

1 アドレナリンβ1受容体
2 ドパミンD2受容体
3 オピオイドμ受容体
4 アセチルコリンM2受容体
5 ヒスタミンH1受容体

 

 

 


解答
5


解説
<Gqタンパク質共役型受容体>
α1受容体、M1・M3受容体、H1受容体、5−HT2受容体、AT1受容体、V1受容体
<Gsタンパク質共役型受容体>
β1・β2受容体、H2受容体、D1受容体、グルカゴン受容体、5−HT4受容体、V2受容体、PGI2受容体
A2受容体
<Giタンパク質共役型受容体>
α2受容体、M2受容体、D2受容体、GABAB、5−HT1受容体、A1受容体、ADP受容体

第103回薬剤師国家試験 問329

58歳男性。CD20陽性のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断され、R−CHOP療法による治療が行われることになり、薬剤師は以下の処方を確認した。

薬品名及び投与量 投与速度又は時間 投与日
1 リツキシマブ注射液 375 mg/m2

生理食塩液で10倍希釈

200 mg/h 1日目

8日目

15日目

2 グラニセトロン点滴静注バッグ3 mg 15分 1日目
3 シクロホスファミド水和物注射用 750 mg/m2

生理食塩液250 mL

15分 1日目
4 ドキソルビシン塩酸塩注射用 50 mg/m2

生理食塩液50 mL

60分 1日目
5 ビンクリスチン硫酸塩注射用 1.4 mg/m2

(最大2 mg/bodyまで)

生理食塩液50 mL

15分 1日目
6 プレドニゾロン錠 60 mg/body 経口
(朝食後、昼食後)
1〜5日目

1コース期間:3週間
総コース数:6〜8コース
d−クロルフェニラミンマレイン酸塩錠2 mg 1錠及びイブプロフェン錠200 mg 1錠を服用する。
担当医師に提案すべき内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 リツキシマブの点滴速度は少しずつ上げていく。
2 グラニセトロンは、リツキシマブの後に投与する。
3 ドキソルビシン塩酸塩の点滴速度は少しずつ上げていく。
4 d−クロルフェニラミンマレイン酸塩とイブプロフェンは、リツキシマブの投与開始3分前に投与する。 

 

 

 


解答
1、4


解説
1 正
<リツキシマブの用法・用量の関する使用上の注意(添付文書:一部抜粋)>
初回投与時は、最初の30分は50 mg/時の速度で点滴静注を開始し、患者の状態を十分観察しながら、その後注入速度を30分毎に50 mg/時ずつ上げて、最大400 mg/時まで速度を上げることができる。また、2回目以降の注入開始速度は、初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100 mg/時まで上げて開始し、その後30分毎に100 mg/時ずつ上げて、最大400 mg/時まで上げることができる。なお、患者の状態により、注入開始速度は適宜減速すること。
上記より、リツキシマブの点滴速度は少しずつあげて投与することが可能である。
2 誤
シクロホスファミド水和物を投与することにより、抗悪性腫瘍薬による嘔吐を誘発する可能性がある。そのため、抗悪性腫瘍薬による嘔吐を抑制する目的でグラニセトロン(5−HT
3受容体遮断薬)をシクロホスファミド投与前に投与する必要がある。
3 誤
<ドキソルビシン塩酸塩注射液の適用上の注意(添付文書:一部抜粋)>
静脈内投与により血管痛、静脈炎、血栓を起こすおそれがあるので、注射部位、注射方法等に十分注意し、注射速度をできるだけ遅くすること。
上記より、ドキソルビシン塩酸塩の点滴速度は少しずつ上げていくことは適切ではない。
4 正
<リツキシマブの用法・用量の関する使用上の注意(添付文書:一部抜粋)>
本剤投与時に頻発してあらわれるinfusion reaction(発熱、悪寒、頭痛等)を軽減させるために、本剤投与の30分前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等の前投与を行うこと。また、副腎皮質ホルモン剤と併用しない場合は、本剤の投与に際して、副腎皮質ホルモン剤の前投与を考慮すること。
上記より、infusion reaction(発熱、悪寒、頭痛等)を軽減させるために、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩(抗ヒスタミン薬)とイブプロフェン(解熱鎮痛剤)は、リツキシマブの投与開始30分前に投与する必要がある。

第103回薬剤師国家試験 問328

8歳男児。湿疹により皮膚科を受診した。母親が処方箋を持って薬局を訪れた。

(処方)
レボセチリジン塩酸塩錠5 mg 1回0.5錠(1日1錠)
1日2回 朝食後・就寝前 7日分

母親からの聞き取りで錠剤が飲めないことが判明したため、処方医に疑義照会してレボセチリジン塩酸塩シロップ0.05%への処方変更を提案した。提案した処方薬の1回量及び全量として正しいのはどれか。1つ選べ。

1 1回量2.5 mL   全量35 mL
2 1回量2.5 mL   全量70 mL
3 1回量5 mL   全量35 mL
4 1回量5 mL   全量70 mL
5 1回量10 mL   全量35 mL
6 1回量10 mL   全量70 mL  

 

 

 

 


解答
4


解説
<レボセチリジン塩酸塩錠5 mg投与による1回量、投与全量に含まれる成分量を求める>
1回量に含まれる成分量:5 mg/錠×0.5錠=2.5 mg
投与全量に含まれる成分量:5 mg /錠×1錠/日×7日=35 mg
<成分量よりレボセチリジン塩酸塩シロップ0.05%の1回量、投与全量を求める>
シロップには0.05%(0.5 mg/mL)の成分が含有されていることから、レボセチリジン塩酸塩シロップ0.05%の1回量、投与全量を以下のように求めることができる。
1回量:2.5 mg÷0.5 mg/mL=5 mL
投与全量:35 mg÷0.5 mg/mL=70 mL

第103回薬剤師国家試験 問327

26歳男性。1日数回の下痢を繰り返し、また、血便が出ていたので近医を受診した。検査の結果、潰瘍性大腸炎と診断され、メサラジン錠を用いた治療を開始した。2年後、出血性下痢の増加と腹痛を認めるようになり、薬物はメサラジン錠とプレドニゾロン錠の併用に変更になった。
この患者の病態と薬学的管理について、適切でないのはどれか。2つ選べ。

1 服用困難な場合には、メサラジン錠を粉砕する。
2 感染症にかかりやすい。
3 メサラジンの副作用として、消化器症状に気をつける。
4 定期的に大腸癌の検査を受ける。
5 メサラジン錠服用により、潰瘍性大腸炎の完治が期待できる。

 

 

 

 


解答
1、5


解説
1 誤っている
メサラジン錠は活性本体の5−アミノサリチル酸(5−ASA)を多孔性被膜でコーティングし、小腸から大腸の全域にわたって放出するよう製剤設計された放出制御型製剤であるため、粉砕すると、この放出調節機能が失われることから粉砕することは望ましくない。
2 正しい
本患者は、副腎皮質ステロイド製剤を服用していることから、易感染状態にある。
3 正しい
メサラジンは副作用として、消化器症状(下痢、下血、血便、腹痛等)を起こすことがある。
4 正しい
本患者が罹患している潰瘍性大腸炎は、大腸癌に移行することがあるため、定期的に大腸癌の検査(大腸内視鏡検査等)を受ける必要がある。
5 誤っている
潰瘍性大腸炎の治療は、主に薬物療法(メサラジン、サラゾスルファピリジン、副腎皮質ステロイド性薬、シクロスポリンなど)によって行われる。薬物療法では、本疾患の病因を改善することはできないため、メサラジンの服用により、潰瘍性大腸炎の完治は期待できない。

第103回薬剤師国家試験 問326

50歳男性。28歳の時に胃の全摘出手術を受け、術後5年間は定期的に検査を受けていたが、それ以降は通院していなかった。数週間前より疲れやすくなり、食欲も減退したことから、クリニックを受診した。受診時には皮膚蒼白であった。血液検査の結果は以下の通りであった。
白血球数6,500/µL、Hb 7.9 g/dL、血小板数20×104/µL、MCV 140 fL、MCH 45 pg、
血清鉄165 µg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 102 mEq/L
この患者に欠乏していると考えられる栄養素として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 ビタミンA
2 ビタミンB2
3 ビタミンB6
4 ビタミンB12
5 ビタミンD

 

 

 

 


解答
4


解説
本患者は既往歴として「胃の全摘出手術」を受けており、自覚症状として「疲れやすい」「食欲の減退」があり、また、受診時には「皮膚蒼白」であることから、本患者は貧血状態にあると考えられる。
<検査値の概要>
白血球数、血清鉄、電解質(Na、K、Cl)、血小板数については基準値範囲内にある
Hb(基準値:13.4〜17.4 g/dL)は基準値より低い。
MCH(平均血球色素量、基準値:26〜34 pg)は基準値より高い。
MCV(平均赤血球容積、基準値:80〜100 fL)は基準値より高い。

上記より、本患者は大球性高色素性貧血を示す巨血芽球性貧血であると考えられる。
ビタミンB12及び葉酸が欠乏すると、DNA合成が障害されることにより赤芽球の分裂が抑制され、巨血芽球性貧血を起こすことがある。
よって、この患者に欠乏していると考えられる栄養素は、ビタミンB12である。

第103回薬剤師国家試験 問312〜313

76歳男性。脳梗塞の既往と高血圧、脂質異常症(高脂血症)、不眠、便秘のため、以下の処方により治療を継続中である。薬局での服薬指導時に、患者から最近便が黒っぽいとの訴えがあった。薬剤師が主治医に連絡したところ、精密検査により大腸がんが見つかり、3ヶ月後に切除手術を受けることになった。

(処方1)
アムロジピンベシル酸塩錠5 mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 30日分
(処方2)
イコサペント酸エチル粒状カプセル900 mg 1回1包(1日2包)
  1日2回 朝夕食直後 30日分
(処方3)
シロスタゾール錠100 mg 1回1錠(1日2錠)
1日2回 朝夕食後 30日分
(処方4)
ゾピクロン錠10 mg 1回1錠
不眠時 10回分(10錠)
(処方5)
センナエキス錠80 mg 1回2錠
便秘時 10回分(20錠)

問312 (実務)
入院手術前に医師と協議の上、この薬剤師が薬学的管理をすることになった。上記の処方の中で、休薬の必要性が高いのはどれか。2つ選べ。

1 処方1
2 処方2
3 処方3
4 処方4
5 処方5

 

 

 

 

 


解答
2、3


解説
本患者は大腸がんが見つかり、出血を伴う切除手術を行う予定になっていることから、血小板凝集抑制作用のある薬物又は抗凝固薬を休薬する必要がある。本患者に処方されている薬のうち、イコサペント酸エチル(選択肢2)及びシロスタゾール(処方3)は血小板凝集抑制作用を有するため、入院手術前に休薬する必要性が高い。


問313 (法規・制度・倫理)
その後、手術では患部を取りきれず、退院時の見込みでは、日常生活を送る上で介護を要するであろうとのことであった。介護保険制度に照らした当該患者に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 第2号被保険者である。
2 要介護認定を受けた場合に介護サービスが受けられる。
3 要介護認定は都道府県が行う。
4 要介護認定は疾病の重症度が判定基準とされる。
5 保険料は医療保険者が徴収し社会保険診療報酬支払基金に納付する。

 

 

 


解答
2


解説
1 誤
本患者は76歳であることから、第1号被保険者である。
第1号被保険者
市町村(特別区を含む)の区域内に住所を有する65歳以上のもの
第2号被保険者
市町村(特別区を含む)の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者
2 正
介護保険制度において、要介護認定を受けた場合に介護サービスを受けることができ、また、要支援認定を受けた場合に介護予防サービスを受けることができる。
3 誤
要介護認定は市町村が行う。
4 誤
要介護認定は、直接生活介護(入浴、排泄、食事等の介護)、間接生活介護(洗濯、掃除等の家事援助等)、問題行動関連行為(徘徊に対する探索等)、機能訓練関連行為(歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練)、医療関連行為(輸液の管理、褥瘡の処置等の診療補助)が被保険者に対して行われるのに要する一日当たりの時間(要介護認定等基準時間)を基に判定される。
5 誤
本患者(第1号被保険者)の介護保険料は年金からの天引き(特別徴収)もしくは納付書による納付(普通徴収)により市町村が徴収する。なお、第2号被保険者の介護保険料は、被保険者が加入する医療保険の保険者が、医療保険料と一体的に徴収する。

第103回薬剤師国家試験 問310〜311

75歳男性。パーキンソン病が進行し、レボドパ製剤に加えてセレギリン塩酸塩錠が併用されることとなった。この医療機関では、併用することとなったセレギリン塩酸塩錠は初めての採用である。薬剤師は、この患者に対して非運動症状(うつ症状、頻尿、便秘、睡眠障害など)の改善のために同時に処方される可能性がある薬剤の併用の可否及び薬剤の取扱いについて確認した。


問310 (実務)
次の薬剤のうち、この男性に併用できないのはどれか。2つ選べ。

1 アミトリプチリン塩酸塩
2 フラボキサート塩酸塩
3 ピコスルファートナトリウム
4 フルボキサミンマレイン酸塩
5 トリアゾラム

 

 

 

 


解答
1、4


解説
セレギリンはMAOB阻害作用を有するため、セロトニン及びノルアドレナリンの分解を抑制する作用を有する。このことから、以下の薬剤と併用禁忌とされている。
・三環系抗うつ薬(アミトリプチリン塩酸塩等)
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルボキサミンマレイン酸塩等)
・セロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(デュロキセチン塩酸塩等)
・選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(アトモキセチン塩酸塩)
・ノルアドレナリン、セロトニン作動性抗うつ薬(ミルタザピン)


問311 (法規・制度・倫理)
セレギリン塩酸塩錠の取扱いとして正しいのはどれか。2つ選べ。

1 厚生労働大臣の指定を受けた向精神薬卸売業者から購入する必要がある。
2 かぎをかけた場所に保管しなければならない。
3 麻薬を保管している金庫に保管してもよい。
4 廃棄したときは、30日以内に都道府県知事に届け出なければならない。
5 盗難や紛失があったときには、すみやかに都道府県知事に届け出なければならない。

 

 

 

 

 


解答
2、5


解説
1 誤
セレギリン塩酸塩は、覚せい剤原料に指定されているため、都道府県知事から覚せい剤原料取扱者の指定を受けた医薬品卸売販売業者から購入する必要がある。
2 正
3 誤
麻薬と覚せい剤は同じ金庫に保管することができるが、セレギリン塩酸塩は覚せい剤原料に指定されているため、麻薬を保管している金庫に保管することはできない。
4 誤
覚せい剤原料であるセレギリン塩酸塩を廃棄する場合には、あらかじめ都道府県知事に届け出た後、当該職員立会いの下、廃棄する必要がある。
5 正

第103回薬剤師国家試験 問308〜309

薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令(以下「体制省令」という。)には、薬局において調剤の業務に係る医療の安全を確保するために必要な措置として、従業者に対する研修が定められている。この研修とて、薬局の過去のヒヤリ・ハット事例報告を薬剤師全員で確認し、以下の事例を検討した。

(処方)
ノルバデックス錠10 mg 1回2錠(1日2錠)
1日1回 朝食後 14日分

この処方に対してノルバスク錠10mg  1回2錠(1日2錠)14日分を調剤した。薬剤交付時に患者に「高血圧の薬」であることを説明した際、患者が間違いに気づいた。
ノルバデックス錠:成分名 タモキシフェンクエン酸塩
ノルバスク錠  :成分名 アムロジピンベシル酸塩


問308 (実務)
この事例から取り間違いの再発を防止する方法として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 処方箋記載の医薬品名を声出し確認するとともに、錠剤棚の貼付ラベルの医薬品名も声出し確認する。
2 取り間違いをした薬剤師はその作業から外す。
3 錠剤棚に「類似名称医薬品有り」の注意喚起のシールを貼る。
4 類似名称医薬品の薬品棚の配置を見直す。
5 類似名称医薬品の組合せ表を作成してスタッフに周知する。

 

 

 

 


解答
2


解説
取り間違いの再発を防止する方法として
・声出し確認する
・「類似名称医薬品有り」等の注意喚起シールを貼る
・類似名称医薬品の薬品棚の配置を見直す
・類似名称医薬品の組合せ表を作成してスタッフに周知する
は適切であるが、「取り間違いをした薬剤師をその作業から外す」ことは適切ではない。


問309 (法規・制度・倫理)
研修のほか、体制省令に定められている調剤の業務に係る医療の安全を確保するために必要な措置に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 医薬品の安全使用のための責任者の設置
2 医薬品の安全使用等の業務に関する手順書の作成
3 調剤の業務に係る医療の安全を確保するための指針の策定
4 従事者から薬局開設者への事故報告体制の整備
5 調剤過誤に関する懲罰の設定

 

 

 


解答
5


解説
薬局並びに店舗販売業および配置販売業の業務を行う体制を定める省令(体制省令)では、調剤の業務に係る医療の安全を確保するために、指針の策定、従事者に対する研修の実施その他必要な措置を講じなければならない。
<薬局開設者が講じなければならない措置>
・医薬品の使用に係る安全な管理のための責任者の設置
・従事者から薬局開設者への事故報告の体制の整備
・医薬品の安全使用並びに調剤された薬剤及び医薬品の情報提供のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施
・医薬品の安全使用並びに調剤された薬剤及び医薬品の情報提供及び指導のため必要となる情報の収集その他調剤業務に係る医療の安全及び適正な管理並びに医薬品の販売又は授与の業務に係る適正な管理の確保を目的とした改善のための方策の実施

第103回薬剤師国家試験 問306〜307

69歳女性。皮膚科を受診し、四肢の皮膚湿疹に対して以下の処方箋を持ち、初めてこの薬局を訪れた。薬剤師が薬を取りそろえる前にお薬手帳で併用薬を確認したところ、女性はラタノプロスト点眼液を処方されていた。なお、副作用歴やアレルギー歴は無いとのことであった。女性は今回の処方薬を初めて使用する。

(処方1)
ベタメタゾン・d−クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠
1回1錠(1日2錠)
1日2回 朝夕食後 5日分
(処方2)
エピナスチン塩酸塩錠20 mg 1回1錠(1日1錠)
  1日1回 夕食後 14日分
(処方3)
ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%   5 g
1回適量 1日2回 朝夕 四肢の患部に塗布

問306 (法規・制度・倫理)
処方監査に基づく疑義照会について正しいのはどれか。2つ選べ。

1 処方に誤りがあり、疑義があったにもかかわらず、薬剤師が疑義照会をせず、そのため患者に健康被害が発生した場合、処方医が損害賠償責任を負うが、薬剤師は負わない。
2 疑義照会は、処方医でなくても医師に行えばよい。
3 処方箋中に法令に定められた事項が記載されていない場合には、疑義照会を行わなければならない。
4 患者がお薬手帳を持参しない場合には、併用薬はないものとして疑義の有無を判断する。
5 疑義照会による医師からの回答の内容は処方箋に記入しなければならない。

 

 

 

 


解答
3、5


解説
1 誤
処方に誤りがあり、疑義があったにもかかわらず、薬剤師が疑義照会もせず、患者に健康被害が生じた場合には、薬剤師も損害賠償責任を負う。
疑義があったにも関わらず、疑義照会せず患者に健康被害が生じた場合には、薬剤師は以下の責任を問われる可能性がある。
・民事的責任(債務不履行や不法行為による賠償責任)
・刑事的責任(業務上過失致死障罪)
・行政的責任(薬事法による薬剤師免許取り消し等)
2 誤
疑義照会は、処方医に行う。
3 正
4 誤
患者がお薬手帳を持参しない場合は、初回質問票、薬歴にて併用薬について確認するか服薬指導時に併用薬について確認する必要がある。
5 正


問307 (実務)
これらの処方の疑義照会において、変更を提案すべき処方はどれか。1つ選べ。

1 処方1
2 処方2
3 処方3
4 処方1と処方2
5 処方1と処方3
6 処方2と処方3

 

 

 

 


解答
1


解説
お薬手帳にて本患者はラタノプロスト点眼液を使用中であることから、眼圧をコントロールする必要がある状態(緑内障、高眼圧症)であると判断できる。
本患者に処方されている薬のうち、ベタメタゾン・d−クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠(処方1)は、眼内圧上昇により、緑内障が増悪するおそれがあるため、緑内障患者には投与禁忌とされている。

第103回薬剤師国家試験 問304〜305

産婦人科の医師から、医薬品情報室に「帝王切開前の皮膚消毒に用いる消毒薬として、クロルヘキシジンとポビドンヨードのどちらが手術部位感染を予防するのに良いか。」との問い合わせがあった。
情報収集の結果、クロルヘキシジン(2%クロルヘキシジングルコン酸塩+イソプロピルアルコール)群と、ポビドンヨード(8.3%ポピドンヨード+イソプロピルアルコール)群を比較した論文を見出し、表に基づいて説明した。


問304 (実務)
薬剤師の説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 主要評価項目は、手術部位感染の発症率と平均入院期間であった。
2 クロルヘキシジン群では、ポビドンヨード群と比べて、手術部位感染のリスクが45%減少することが示されている。
3 クロルヘキシジン群では、ポビドンヨード群と比べて、深部の手術部位感染のリスクは統計学的に有意に小さい。
4 クロルヘキシジン群、ポビドンョード群ともに、入院期間の中央値は4日間であった。
5 再入院までの期間は、クロルヘキシジン群、ポビドンヨード群においてそれぞれ19日間、25日間であった。

 

 

 

 

 


解答
2、4


解説
1 誤
主要評価項目(Primary outcome)は、手術部位感染数−感染率(Surgical-site infection−no .(%))であり、平均入院期間(Median length of hospital stay−days)ではない。なお、平均入院期間(Median length of hospital stay−days)は、副次的評価項目(Secondary outcomes)である。
2 正
クロルヘキシジン群では、相対危険度が0.55となっていることから、ポビドンヨード群と比べて、手術部位感染のリスクが45%(1-0.55=0.45)減少することが示されている。
3 誤
クロルヘキシジン群での深部の手術部位感染(Deep incisional)の相対危険度は0.43であり、95%信頼区間は0.17−1.11である。このことから、95%信頼区間が1を挟んでいるため、有意差なしと考えられる。
4 正
クロルヘキシジン群、ポビドンョード群ともに、Median length of hospital stay−daysが4であることから、入院期間の中央値(median)は4日間である。
5 誤
Hospital readmission−no(%)再入院人数(%)がクロルヘキシジン群では19(3.3)、ポビドンヨード群では25(4.3)であることから、再入院の患者人数(%)がそれぞれ19人(3.3%)、25人(4.3%)である。


問305 (病態・薬物治療)
この研究に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 この研究は介入研究である。
2 Primary outcomeとは真のアウトカムのことである。
3 Randomized tria1では交絡因子の制御が困難である。
4 ITT解析により、当初の患者背景因子の同等性が保持されていると考えられる。
5 生存時間分析を行っている。

 

 

 

 


解答
1、4


解説
1 正
この研究はRandomized trail(ランダム化比較試験)であり、介入研究である。
2 誤
Primary outcomeとは主要評価項目のことであり、研究において主要となる評価項目のことである。また、Secondary outcomesとは副次的評価項目であり、主要評価項目以外の項目のことである。
3 誤
Randomized trail(ランダム化比較試験)では、交絡因子の制御を行うことができる。
4 正
ITT(Intension To Treat)解析とは、治療を完結したか、治療を受けなかったかに関わらず、
初めに割り付けた群にしたがって分析を行う手法である。ITT解析を行うことにより当初の患者背景因子の同等性が保持されている。
5 誤
生存時間分析に関する結果は記載されていない。