第102回薬剤師国家試験」カテゴリーアーカイブ

第102回薬剤師国家試験 問345

病棟において薬剤師が看護師よりメナテトレノン静注製剤の保管取扱いについて注意事項を教えてほしいと依頼された。医薬品インタビューフォームを調べたところ、表に示す安定性試験のデータが記載されていた。

メナテトレノン静注製剤の保管取扱いについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 LPEを開封しない状態で保管する。
 褐色アンプルのみの状態では、光分解による含量低下は起こらない。
 シリンジを用いて静注する場合は、採取後3時間以内に行う。
 点滴静注により持続投与を行う場合は、遮光カバーを用いる。

 

 

 

 


解説
1 正
設問の表より、LPE開封後の保存期間は8時間であることから、本剤はLPEを開封せず保管する必要がある。
2 誤
設問の表より、褐色アンプルのみの状態では、3時間後わずかに褐変、含量低下(8時間後に規格下限)していることから、光分解による含量低下が起こっていると考えられる。
3 誤
設問の表より、プラスチックシリンジでは、1時間後にわずかに褐変、含量低下(2時間後に規格外)となっていることから、シリンジを用いて本剤を静注する場合には、採取後1時間以内に行う必要がある。
4 正
本剤は光により分解されやすいため、点滴静注により持続投与を行う場合には、遮光カバーを用いる必要がある。


解答
1、4

第102回薬剤師国家試験 問344

63歳男性。青緑色の吐物を嘔吐し、救急病院に搬送された。医師が家族から状況を聞くと、この男性は認知症であり、買い置きしておいたホウ酸団子をお菓子と間違えて3個食べてしまったという。この男性がホウ酸団子を食べてから5時間以上が経っている。
ホウ酸団子とは、ホウ酸にタマネギ、小麦粉、砂糖、牛乳を加えてつくるゴキブリ駆除剤であり、1個あたり、約3 gのホウ酸を含有している。
担当医師から薬剤師に解毒方法を急いで調べてほしいとの連絡があった。

薬剤師が調べたホウ酸についての情報は以下の通りである。
【中毒量・致死量】
中毒量:成人 1〜3 g
経口致死量:成人 15〜30 g
【体内動態】
ホウ酸は、経口摂取後消化管から1時間以内にほとんどが吸収される。吸収後24時間で約50%が、96時間で90%以上が未変化体として尿中に排泄される。分布容積は小さく、血漿タンパク質にほとんど結合しない。

この男性に最も有効と考えられる処置法はどれか。1つ選べ。

 胃洗浄
 活性炭の投与
 プラリドキシムヨウ化物(PAM)の投与
 クエン酸マグネシウムの投与
 血液透析

 

 

 


解説
ホウ酸団子を経口摂取することにより消化器症状(悪心、青緑色の吐物、下痢便など)や皮膚症状(紅斑様発疹など)、腎障害、けいれんなどを起こすことがある。
ホウ酸団子を摂取してしまった場合には、以下の措置を行う。
・ホウ酸団子が胃内に存在している場合(摂取後1時間以内)は、生理食塩液等で胃洗浄を行う。
・呼吸管理、循環管理を行う。
・腎不全に陥ってしまった場合や他の治療法で効果が得られない場合は、血液透析を行う。
1 誤
本症例では、ホウ酸団子摂取後5時間以上経過していることから胃洗浄により中毒症状を改善することはできない。
2 誤
ホウ酸はほとんど活性炭に吸着しないため、活性炭の投与により中毒症状を改善することはできない。
3 誤
プラリドキシムヨウ化物(PAM)は、有機リン系剤の中毒症状に用いられるが、ホウ酸団子による中毒症状の改善には用いられない。
4 誤
クエン酸マグネシウムは、腸管運動を促進させることにより腸管内に存在する毒性物質の体外への排泄を促進させる。本症例では、ホウ酸団子摂取後5時間以上経過していることからクエン酸マグネシウムの投与により中毒症状を改善することはできない。
5 正
本症例では、ホウ酸団子摂取後5時間以上経過しており、血液中にホウ酸が移行していると考えられることから、解毒の方法として血液透析が有効である。


解答
5

第102回薬剤師国家試験 問343

ある医薬品について患者向け説明文書を作成するため、承認時の審査報告書を調べたところ、次のような記載が見つかった。
Ⅳ.総合評価
高用量(125 mg/日)ではあるものの本剤単独投与で汎血球減少症による死亡例が発現しており、肝機能障害、胃腸障害等も高頻度に発現していること(  −中略−  )等を踏まえると、本剤の臨床使用に当たっては十分な安全対策を講じる必要があり、製造販売後調査において本剤の安全性を引き続き慎重に検討する必要があると考える。(一部抜粋)

患者向け説明文書中「このような症状が現れたときには、すぐに医師または薬剤師に連絡してください」の項目に記載する必要があるのはどれか。1つ選べ。

 手足がしびれる、手足の皮膚が硬くなる、爪が変形する。
 息が切れる、めまいがする、のどが痛い、鼻血がでる、青あざができる。
 尿が少なくなる、尿がでない、むくみがある、体がだるい、発疹。
 のどがかわく、水分をたくさん摂ってしまう、尿の量が多い、体重が減る。
 ぼんやりする、手足がふるえる、目がちらつく、ふらつく、冷や汗がでる。

 

 

 


解説
問題文に「本剤単独投与で汎血球減少症による死亡例が発現しており」と記載されていることから、患者向けの説明文書中には汎血球減少症の初期症状を記載する必要がある。汎血球減少症では初期症状として、息切れ、めまい、鼻血、出血しやすい、青あざができるなどを呈することがある。よって、本薬物の患者向けの説明文書に「息が切れる、めまいがする、喉が痛い、鼻血が出る、青あざができる」と記載する必要がある。なお、他の選択肢については、選択肢1:手足症候群の初期症状、選択肢3:急性腎不全の初期症状、選択肢4:高血糖の初期症状、選択肢5:低血糖の初期症状となっている。


解答
2

第102回薬剤師国家試験 問342

2歳3ヶ月女児。体重12 kg。湿性咳嗽に対して以下の処方箋が発行され、母親が薬局に持参した。当該薬局の調剤内規では「1回の服用量が整数値となるように精製水を最小量加える」となっている。

(処方)
カルボシステインシロップ5% 1回120 mg(1日360 mg)【原薬量】
プロカテロール塩酸塩シロップ0.0005% 1回15 µg(1日45 µg)【原薬量】
上記を混合して1剤とする。
1日3回 朝昼夕食後 3日分

1回の服用量として正しいのはどれか。1つ選べ。

 4 mL
 6 mL
 8 mL
 10 mL
 12 mL

 

 

 


解説
<カルボシステインシロップ5%の1回分の服用量を求める>
カルボシステインシロップ5%(50 mg/mL)の1回分の服用量は、120 mg÷50 mg/mL=2.4 mLである。
<プロカテロール塩酸塩シロップ0.0005%の1回分の服用量を求める>
プロカテロール塩酸塩シロップ0.0005%(5 µg/mL)の1回分の服用量は、15 µg÷5 µg/mL=3 mLである。
これらのことから、本処方薬の1回分の服用量は、2.4+3=5.4 mLとなる。問題文に「1回の服用量が整数値となるように精製水を最小量加える」と記載されていることから、1回分の服用量を6 mLとなるように精製水を加える必要がある。


解答
2

第102回薬剤師国家試験 問341

48歳女性。非小細胞肺がん。以下の処方箋をかかりつけ薬局に持参した。

(処方1)
エルロチニブ塩酸塩錠150 mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食の2時間後 14日分

薬歴からこれまでは処方2の薬剤が3週間毎に処方されており、処方1は初めての処方であることを確認した。

(処方2)
ジフェンヒドラミン塩酸塩錠10 mg 1回5錠
必要時 1回分(5錠)
レボフロキサシン錠500 mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 発熱時開始 5日分
ロキソプロフェンNa錠60 mg 1回1錠
38℃以上の熱が出た時 5回分(5錠)

この患者の処方箋と薬歴情報について正しいのはどれか。2つ選べ。

 今回の処方薬は、他の化学療法施行後に開始された薬剤である。
 血小板減少による発熱が出現していた可能性がある。
 息切れ、咳などのかぜの様な症状がでても自然におさまることを伝える。
 発疹、皮膚の乾燥やかゆみが出現する可能性があることを伝える。

 

 

 


解説
1 正
以前から処方されている処方2の内容を以下に示す。
・ジフェンヒドラミン塩酸塩錠
化学療法による過敏症を抑制するために処方されていると推察される。
・レボフロキサシン錠
化学療法による白血球減少に伴う易感染状態に対して処方されていると推察される。
・ロキソプロフェンNa錠
化学療法による白血球減少に伴う発熱に対して処方されていると推察される。
上記の内容より、今回の処方薬(エルロチニブ塩酸塩錠)が化学療法施行後に処方されていると推察することができる。
2 誤
ロキソプロフェンNa錠が処方されていることから、白血球減少に伴う発熱が出現していた可能性がある。
3 誤
エルロチニブを投与することにより、副作用として間質性肺炎を起こすことがある。息切れ、咳などのかぜの様な症状は間質性肺炎の初期症状であることから、これらの症状が出現した場合には、直ちに医療機関を受診するように促す必要がある。
4 正
エルロチニブを投与することにより、副作用として重度の皮膚障害を起こすことがある。よって、本剤を投与するにあたり皮膚障害の初期症状(ニキビのような発疹、皮膚の乾燥、皮膚のひび割れ、かゆみ、熱感、あかみなど)を伝え、これらの症状が現れた場合には、直ちに医療機関を受診するように促す必要がある。


解答
1、4

第102回薬剤師国家試験 問340

60歳男性。数年来、糖尿病治療のためクリニックを受診している。このたび、糖尿病の病態悪化の傾向があり、現在服用中の薬剤に1薬剤が追加され、処方箋をかかりつけの薬局へ持参した。薬剤師がお薬手帳で現在服用中の薬剤を確認し、窓口で患者と以下の会話があった。

(現在服用中の薬剤)
ボグリボース錠0.3 mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食直前 28日分
メトホルミン塩酸塩錠250 mgMT 1回1錠(1日2錠)
1日2回 朝夕食直前 28日分
(薬剤師と患者との会話)
患 者
糖尿の薬がまた増えました。
今後の薬も1日3回、食前に飲む必要がありますか。
薬剤師
新しく出た薬は1日1回ですよ。食前に飲み忘れた時は食後でもいいですよ。
患 者
どんな薬なのですか。注意することはありますか。
薬剤師
尿中に余分な糖を出すことで効果を発揮する薬です。
今まで通り、低血糖症状に気をつけてください。それに追加して排尿時の違和感にも注意してください。尿量が増えることで喉が渇きやすくなるかもしれません。その時は水分補給を忘れないでください。

上記の会話から推測される糖尿病治療薬はどれか。1つ選べ。

 グリベンクラミド
 シタグリプチンリン酸塩水和物
 ピオグリタゾン塩酸塩
 イプラグリフロジン L−プロリン
 ミチグリニドカルシウム水和物

 

 

 


解説
薬剤師の最後の説明にある「尿中に余分な糖を出すことで効果を発揮する」「尿量が増えることで喉が渇きやすくなるかもしれない。」から、本患者に新たに処方された薬物は、腎尿細管に発現するSGLT2(Na/グルコース共輸送体2)阻害薬であるイプラグリフロジン L−プロリンであると考えられる。
イプラグリフロジン L−プロリンは、選択的SGLT2を阻害薬であり、腎近位尿細管におけるグルコースの再吸収を阻害し、尿中に余分な糖を排出することにより血糖降下作用を示す。本薬物は、副作用として低血糖、腎盂腎炎、敗血症、脱水、ケトアシドーシスを引き起こす。また、本薬物の用法は、「通常、成人に対して1日1回朝食前または朝食後に経口投与する」となっていることから、朝食前に飲み忘れた場合は朝食後に服用してもよい旨を説明する。


解答
4

第102回薬剤師国家試験 問339

後期高齢者で一人住まいの患者Aは、通院にヘルパーの介助が必要であった。最近、通院が困難になり、薬の服薬管理にも不安があるので、週1回の訪問薬剤管理指導の指示が処方医より出された。
薬剤師が行う訪問薬剤管理指導の内容として適切でないのはどれか。2つ選べ。

 訪問前に、薬学的管理指導計画をたてる。
 患者の状態から介護度を決定し、介護保健被保険者証に記載する。
 患者の生活状態に応じた服薬支援(剤形変更、簡易懸濁法など)を医師に提案する。
 バイタルサインのチェックを行うには、医師の免許が必要となる。
 在宅訪問の結果について、必要な情報を医師やケアマネージャーなどに報告する。

 

 

 


解説
1 適切
訪問薬剤管理指導を行うに当たり、薬剤師は訪問前に処方医から提供された情報及び患者の状況をふまえて薬学的管理指導計画を策定する。
2 不適切
介護度に認定は、市町村および特別区に設置されている介護認定審議会によって行われ、薬剤師は関与しない。
3 適切
訪問薬剤管理指導において、薬剤師は個々の患者の状況に応じた服薬支援(剤型変更・簡易懸濁法など)を医師に提案する。
4 不適切
訪問薬剤管理指導を行うにあたり、薬剤師がフィジカルアセスメント(患者に触れ、バイタルサイン(血圧、脈拍、体温など)を確認すること)行う際には医師の許可は不要である。
5 適切
訪問指導終了後、薬剤師は薬歴を作成するとともに必要な情報を医師やケアマネージャーなどに報告する必要がある。


解答
2、4

第102回薬剤師国家試験 問338

50歳女性。体重50 kg。激しい腹痛のため来院した。検査の結果、腹痛は小腸の炎症によるものと判明した。食事が摂れないため、エネルギー基質としてアミノ酸(3.0 w/v%)及びブドウ糖(8.0 w/v%)を含有する輸液を末梢静脈より投与することとなった。本製剤を1日あたり1,500 mL投与するとき、患者の総エネルギー消費量(TEE)に対する総投与エネルギー量の割合(%)として最も近い値はどれか。1つ選べ。
ただし、基礎エネルギー(BEE)は25 kcal/kg/日で概算できるものとし、この患者の活動係数は1.2、ストレス係数は1.0とする。

 15
 30
 45
 60
 75

 

 

 


解説
<本患者の総エネルギー消費量(TEE)を求める>
TEEは以下の式より求めることができる。
TEE=基礎エネルギー(BEE)×活動係数×ストレス係数
設問に「体重50 kg、基礎エネルギー(BEE)は25 kcal/kg/日、活動係数1.2、ストレス係数1.0とする」と記載されていることから、TEEを以下のように求めることができる。
TEE=25 kcal/kg/日×50 kg×1.2×1.0=1500 kcal/日
<輸液による総投与エネルギー量を求める>
設問に「アミノ酸(3.0 w/v%)及びブドウ糖(8.0 w/v%)を含有する輸液を末梢静脈より投与」「本製剤を1日あたり1,500 mL投与する」と記載されていることから、輸液による総投与エネルギー量を以下のように求めることができる。
アミノ酸:3 g/100 mL×1500 mL×4 kcal/g=180 kcal
ブドウ糖:8 g/100 mL×1500 mL×4 kcal/g=480 kcal
輸液による総投与エネルギー量=180 kcal+480 kcal=660 kcal
これらのことから、TEEに対する総投与エネルギー量を以下のように求めることができる。
660/1500×100=44(%)


解答
3

第102回薬剤師国家試験 問337

57歳女性。乾癬に罹患し、以下の処方により治療することになった。

(処方)
エトレチナートカプセル10 mg 1回1カプセル(1日3カプセル)
1日3回 朝昼夕食後 14日分
ベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステル軟膏0.05% 30 g
1日1回 朝 患部に塗布
マキサカルシトール軟膏0.0025%  90 g
1日2回 朝就寝前 患部に塗布

健康には気をつけており、日頃から以下の飲み物を常用している。以下の飲み物の中で、同時に摂取したときにこの処方薬の副作用の発現を高める可能性があるのはどれか。1つ選べ。

 ミネラルウォーター
 グレープフルーツジュース
 牛乳
 トマトジュース
 青汁 

 

 

 


解説
患者が日頃から常用している飲み物のうち、処方薬の副作用の発現を高める可能性があるのは、牛乳である。エトレチナートは脂溶性であり、牛乳および高脂肪食により吸収性が増大すると報告されている。よって、エトレチナートを牛乳及び高脂肪食とともに摂取すると血中濃度が上昇し、副作用が発現するおそれがある。


解答
3

第102回薬剤師国家試験 問336

アレルギー性鼻炎の持病がある高校生が海外の国際競技大会へ出場することになった。現在医療機関を受診しておらず、一般用医薬品などで様子を見ていた。海外の薬局にて一般用医薬品を購入する際に現地の薬剤師に相談できるように服用可能な薬を書いたメモを持たせることにした。下記に示す医薬品成分のうちアンチドーピングの観点から適切でないのはどれか。2つ選べ。なお、成分名の英文表記に誤りはないものとする。

 d−Chlorpheniramine Maleate
 Ebastine
 Ibuprofen
 Prednisolone
 dl−Methylephedrine Hydrochloride 

 

 

 


解説
ドーピング禁止物質については、世界アンチドーピング機構(WADA)によって「Ⅰ:常に禁止される物質」「Ⅱ:競技会(時)に禁止される物質」「Ⅲ:特定競技において禁止される物質」に分類されている。
Ⅰ:常に禁止される物質
無承認物質、タンパク同化薬、ペプチドホルモン、成長因子、アドレナリンβ2受容体刺激薬、ホルモン関連薬及び代謝調節薬、利尿薬及び隠蔽薬、フェネチルアミン及びその誘導体
Ⅱ:競技会(時)に禁止される物質
Ⅰに加えて、興奮薬、麻薬、カンナビノイド、糖質コルチコイド
Ⅲ:特定競技において禁止される物質
Ⅰ、Ⅱに加えて、アルコール、アドレナリンβ受容体遮断薬
上記より、アンチドーピングの観点から適切でないのは、「Prednisolone(プレドニゾロン:糖質コルチコイド)」「dl−Methylephedrine Hydrochloride(dl−メチルエフェドリン塩酸塩:興奮薬)」である。


解答
4、5