生後11ヶ月男児。約2週間前より体に発赤や湿疹が多数出現し、小児科を受診した。その結果、食物によるアトピー性皮膚炎と診断され、薬物治療とともに原因食物除去も医師より提案された。母親が処方せんを保険薬局に持参し、薬剤師に薬物治療のみならず日常の食事や生活の注意点についても相談した。
問228 (衛生)
食物によるアトピー性皮膚炎における日常生活の注意点について、薬剤師が母親に説明をした。説明の内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 薬物治療で症状が改善した場合、母親の判断で薬剤の服用をすぐ中止する。
- 皮膚の清潔を保持し、保湿するなどのスキンケアも重要である。
- 乳児期に発症する食物アレルギーは、成長に伴い耐性を獲得する場合が多い。
- 症状が改善した場合には、すぐに食物制限を解除する。
解答・解説
解答
2、3
解説
1 誤
アトピー性皮膚炎は、増悪と寛解を繰り返す慢性疾患であり、症状が改善しても再び症状が現れることがあるため、自己の判断で薬剤の服用を中止しないように説明する。
2 正
アトピー性皮膚炎を治療するにあたっては、皮膚の清潔を保ち、保湿するなどのスキンケアが重要である。
3 正
乳児に発症する卵、乳製品、小麦による食物アレルギーは成長するに伴って耐性を獲得し、寛解することが多い。
4 誤
食物アレルギーにおいて、原因食物の摂取を制限することにより症状が改善した場合でも、すぐに食物制限を解除してはならない。なお、食物制限を解除するためには、アレルギーテストを行う必要がある。
問229 (実務)
食物アレルギー原因食品とその表示に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 乳児期の食物アレルギーの原因食品として最も多いのは、大豆である。
- 鶏卵中の食物アレルギーの主な原因物質は、卵黄に存在するタンパク質である。
- 食品中のアレルギー物質の表示は、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)に定められている。
- 落花生は重篤な症状を引き起こし、生命にかかわることもあるので、特定原材料に指定されている。
- 小麦に関しては、キャリーオーバーの場合でも、表示が義務づけられる。
解答・解説
解答
4、5
解説
1 誤
乳児期の食物アレルギーの原因食品として最も多いのは卵である。
2 誤
鶏卵中の食物アレルギーの主な原因物質は、卵白に存在するタンパク質(オボアルブミンなど)である。
3 誤
食品中のアレルギー物質の表示は、食品表示法に定められている。
4 正
特定原材料とは、食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかである食品のうち、特に症例数や症状の重症度が高く、表示する必要性の高い食品7品目のことである。
特定原材料
・発症件数が多い:卵、乳、小麦、えび、かに
・重篤な症状を引き起こし生命に関わるもの:落花生、そば
5 正
特定原材料に関しては、含量が微量であってもアレルギーを発症する可能性が高いため、キャリーオーバーであっても、表示する必要がある。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 第98回 問228〜229 […]