腎性貧血とは、慢性腎臓病(CKD)や末期腎不全(ESKD)に伴い、腎臓でのエリスロポエチン(EPO)産生低下や赤血球寿命短縮により発生する貧血である。主に正球性正色素性貧血の形をとる。
1. 原因と病態
① エリスロポエチン(EPO)産生低下(主因)
- 腎臓の糸球体傍細胞でEPOを産生
- CKDの進行により腎実質が障害され、EPO産生が低下
- 骨髄での赤血球産生が低下し、貧血を引き起こす
② 鉄利用障害(機能的鉄欠乏)
- 鉄が体内に存在しても利用できず、赤血球産生が阻害される
③ 赤血球寿命の短縮
- 尿毒症物質の蓄積が原因
- 赤血球膜障害が進み、正常より寿命が短縮(通常120日 → 約70〜90日)
④ 出血傾向(血小板機能異常)
- CKDでは血小板機能が低下し、消化管出血や透析関連の失血が起こりやすい
2. 症状
一般的な貧血症状
- 倦怠感、息切れ、めまい、動悸
- 顔面蒼白
- 頭痛、集中力低下
腎性貧血特有の症状
- 皮膚蒼白(血色素低下による)
- 心負荷増大(心不全リスク増加)
- 貧血が進行すると心拍数が増加し、左心室肥大や心不全を引き起こす
3. 診断
① 血液検査
- ヘモグロビン(Hb)低下(男性<13.0 g/dL、女性<12.0 g/dL)
- 正球性正色素性貧血(MCV, MCH, MCHCは正常範囲)
- エリスロポエチン(EPO)低値または不適切低値
② CKDの評価
- eGFR低下(<60 mL/min/1.73m²)
- 尿毒症マーカー(BUN, クレアチニン)上昇
4. 治療
① 薬物療法
- エリスロポエチン刺激薬を投与し、骨髄での赤血球産生を促進する
- 低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素阻害薬を投与し、エリスロポエチンの産生を促進する
- 鉄欠乏がある場合、鉄剤を投与する
② 生活習慣の管理
- 食事管理(鉄・葉酸・ビタミンB12を適切に摂取)
- 腎機能を維持するための血圧・血糖管理




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