巨赤芽球性貧血は、ビタミンB₁₂または葉酸の欠乏によりDNA合成が障害され、骨髄での赤血球の成熟が異常をきたすことによって発生する大球性正色素性貧血である。未熟な巨赤芽球が骨髄に蓄積し、効果的な造血が行えなくなることが特徴である。
1. 原因
巨赤芽球性貧血の主な原因は、ビタミンB₁₂または葉酸の不足であり、これらの欠乏の原因は以下のように分類できる。
① ビタミンB₁₂欠乏によるもの
- 摂取不足(菜食主義者、極端な偏食)
- 吸収障害(悪性貧血、胃切除後、萎縮性胃炎)
- 腸管異常(クローン病、吸収不良症候群、小腸切除)
- 腸内細菌の過増殖(回腸嚢炎)
- 寄生虫感染(広節裂頭条虫:ビタミンB₁₂を消費)
② 葉酸欠乏によるもの
- 摂取不足(アルコール依存症、栄養不良)
- 需要増加(妊娠、授乳、悪性腫瘍、溶血性貧血)
- 吸収障害(クローン病)
- 薬剤の影響(メトトレキサート、フェニトイン、ヒダントイン系抗てんかん薬)
2. 症状
① 貧血症状(一般的な貧血の症状)
- 倦怠感・疲れやすい
- 動悸・息切れ
- めまい・頭痛
- 皮膚蒼白
② 神経症状(ビタミンB₁₂欠乏時特有)
- 四肢のしびれ・感覚鈍麻(末梢神経障害)
- 歩行困難(脊髄後索障害)
- 腱反射の異常(反射低下または亢進)
- 精神症状(うつ、認知機能低下、記憶障害)
③ 消化器症状
- 舌炎(舌が赤く腫れ、痛みを伴う)
- 食欲不振
- 体重減少
3. 診断
① 血液検査
- ヘモグロビン(Hb)↓(男性:13g/dL未満、女性:12g/dL未満)
- 平均赤血球容積(MCV)↑(大球性貧血:100fL以上)
- 網赤血球↓(造血不全のため)
- 血清ビタミンB₁₂↓または葉酸↓
② 骨髄検査(必要時)
- 巨赤芽球の増加
- 赤芽球の核質不均衡(核の成熟遅延)
③ 胃腸関連検査(吸収障害が疑われる場合)
- 胃内因子抗体(IF抗体):悪性貧血の診断
- 胃カメラ検査:萎縮性胃炎や胃切除後の確認
4. 治療
① 原因に応じたビタミンB₁₂または葉酸の補充
【ビタミンB₁₂欠乏の場合】
- ヒドロキソコバラミン(ビタミンB₁₂製剤)
- 治療効果は速やかに現れ、貧血は数週間で改善
【葉酸欠乏の場合】
- 葉酸を経口投与
- 妊娠前からの葉酸摂取推奨(神経管閉鎖障害予防)
② 原因疾患の治療
- 悪性貧血 → ビタミンB₁₂の定期補充
- 胃切除後 → 生涯にわたりビタミンB₁₂補充
- 吸収不良症候群 → 原因疾患の治療
③ 食事療法
ビタミンB₁₂を多く含む食品
- レバー、赤身の肉、魚介類(カキ、アサリ、イワシ)
葉酸を多く含む食品
- 緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー)、豆類(大豆、レンズ豆)




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