粉末X線回折測定法は、結晶性物質の構造を解析するために広く用いられる手法で、粉末状の試料にX線を照射し、結晶の原子配列によるX線の回折現象を観測する方法である。この手法を用いることで、結晶構造や物質の結晶性、結晶粒サイズ、さらには多形の同定などが可能となる。
1. 測定の原理
粉末X線回折測定法は、ブラッグの法則に基づいている:
nλ=2dsinθ
- n: 回折の次数(通常1)
- λ: 入射X線の波長
- d: 結晶面間隔
- θ: 回折角
この法則に従い、結晶中の原子面が特定の条件でX線を回折し、その回折パターンを検出することで結晶情報を得る。
2. 測定手順
- 試料準備:
- 結晶性物質を微細な粉末状にする。
- 均一な分布になるように試料を整える。
- X線照射:
- 試料に単色X線を照射する。
- 回折パターンの検出:
- 試料から放出された回折X線を検出器で測定し、回折強度を回折角(2θ)の関数として記録する。
- データ解析:
- 得られた回折パターンから、物質の結晶構造、結晶性、多形、結晶粒サイズ、格子定数などを解析する。
3. 粉末X線回折の特徴
- 試料形状: 単結晶が不要で、粉末試料で解析が可能。
- 非破壊分析: 試料を破壊せずに測定できる。
- 多結晶解析: 粉末試料は無数のランダムな結晶配向を持つため、すべての結晶面からの回折が観測される。
4. 得られる情報
- 結晶構造解析:
- 結晶格子の種類(立方晶系、六方晶系など)。
- 格子定数や単位格子の構造。
- 結晶性評価:
- 鋭いピークが得られる場合は結晶性が高いことを示す。
- ブロードなピークは結晶性が低い、またはアモルファス性を示す。
- 多形の同定:
- 同じ化学組成を持つ異なる結晶形態(多形)を識別可能。
- 混合物分析:
- 混合物中の各成分の回折ピークを同定することで、混合割合や結晶性を評価できる。




コメント