視床下部は、間脳の下部に位置する小さな構造で、脳全体の体積に比べると非常に小さい(約4グラム)が、生命維持に不可欠な多くの機能を担う。体内のホメオスタシス(恒常性)の維持、内分泌系の制御、自律神経系の調整に関与する重要な脳領域である。
視床下部の主な機能
- ホルモン分泌と内分泌系の制御
- 視床下部は下垂体と連携して、全身のホルモンバランスを調整する。
- 放出ホルモン(例:甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH))を分泌し、下垂体前葉を介して内分泌器官を制御。
- 抗利尿ホルモン(バソプレシン)やオキシトシンは、視床下部で産生され、下垂体後葉から放出される。
- 自律神経系の調整
- 交感神経と副交感神経の活動を統合して、血圧、心拍数、体温、消化などを調整。
- 急激なストレス反応(「闘争か逃走」反応)にも関与。
- 体温調節
- 視床下部は、体温センサーとして働き、寒冷時には発熱を促し、暑熱時には発汗を促進する。
- 摂食とエネルギー代謝の調整
- 視床下部の摂食中枢と満腹中枢が、食欲と満腹感を制御する。
- グルコース濃度やホルモン(例:レプチン、グレリン)に応じて摂食行動を調整。
- 水分・塩分のバランス維持
- 視床下部は、体液の浸透圧をモニターし、バソプレシンの分泌を通じて水分再吸収を調整する。
- 生殖と性行動
- 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)を通じて、生殖機能を調節。
- 性行動や性欲にも関連。
- 情動とストレス応答
- 恐怖、怒り、快楽などの情動の調整に関与し、ストレス応答を統合する。
- 視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)を通じて、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を調整。
視床下部と関連する疾患
- ホルモン分泌異常
- 視床下部性下垂体機能低下症:視床下部の損傷によって下垂体の機能が低下。
- SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群):バソプレシンの異常分泌による水分過剰。
- 摂食異常
- 視床下部の損傷が、過食症や拒食症の原因になる場合がある。
- 体温調節異常
- 低体温症や高体温症は、視床下部の調節機能の障害に関連。
- クッシング病
- HPA軸の過剰活動により、コルチゾールの分泌が異常に増加。




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