海馬は、大脳の側頭葉内側にある細長い構造で、大脳辺縁系の一部を形成する。主に記憶の形成、空間認知、情報の統合に関与する重要な脳の部位である。その形状がタツノオトシゴ(英語で”hippocampus”)に似ていることからこの名称が付けられた。
海馬の主な機能
- 記憶の形成と統合
- 短期記憶を長期記憶に変換するプロセスに重要な役割を果たす。
- 記憶の「貯蔵」自体は大脳皮質で行われるが、その過程において海馬が中心的役割を担う。
- 空間認知とナビゲーション
- 空間における自分の位置や周囲の環境を認識する。
- 「場所細胞」と呼ばれる特殊な神経細胞が、空間地図を形成しナビゲーションを助ける。
- 情報の統合
- 五感を通じて得られたさまざまな情報を統合し、体験として記憶する。
- ストレス応答の調整
- 視床下部-下垂体-副腎軸(HPA軸)を調節し、ストレスに対する反応を管理。
海馬と関連する疾患
- アルツハイマー病
- 初期段階で海馬が萎縮し、記憶障害が顕著に現れる。
- 認知機能低下の進行とともに、海馬の損傷が拡大する。
- ストレス障害(PTSD)
- 慢性的なストレスやトラウマにより、海馬の体積が減少することが示されている。
- うつ病
- 長期のうつ病では、海馬の萎縮が観察されることがある。
- 抗うつ薬治療が海馬の神経新生を促進するという研究もある。
- 加齢による記憶低下
- 加齢に伴い海馬の体積が減少し、記憶や認知機能が低下する。




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