アシルCoA(Acyl-CoA)とは、脂肪酸が補酵素A(CoA)と結合した化合物であり、脂質代謝における重要な中間体である。脂肪酸の活性化やβ酸化、脂質合成など、さまざまな生化学反応に関与している。
アシルCoAの特徴
- 構造
アシルCoAは、長鎖脂肪酸(アシル基)と補酵素Aがチオエステル結合によって結合した化合物である。一般的な構造は以下の通り:- アシル基(R-CO-):脂肪酸由来の部分
- 補酵素A(CoA):ビタミンB5(パントテン酸)から合成される分子
- 脂肪酸の活性化
遊離脂肪酸が代謝に利用される前に、アシルCoA合成酵素(または脂肪酸CoAリガーゼ)によってアシルCoAに変換される。
この反応にはATPが必要である。 - 代謝の中心的役割
アシルCoAは脂質代謝のさまざまな経路で中心的な役割を果たす。 - 輸送
長鎖脂肪酸アシルCoAはカルニチンと結合し、カルニチンシャトルを介してミトコンドリア内膜を通過し、β酸化に利用される。
アシルCoAの役割
- エネルギー生成
アシルCoAは、脂肪酸のβ酸化においてアセチルCoAを生成し、TCA回路や電子伝達系を介してATPを生産する。 - 脂質合成
中性脂肪、リン脂質、スフィンゴ脂質の合成に利用される。 - 解毒作用
毒性物質や異物の解毒において、アシルCoAを介して脂肪酸が修飾されることがある。
臨床的意義
- 代謝異常
アシルCoAの生成や利用に関与する酵素の欠損は、脂質代謝障害を引き起こす。たとえば、
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ欠損症やアシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症など。 - エネルギー供給不全
ミトコンドリア内でのアシルCoA代謝障害は、エネルギー供給不足を引き起こし、筋力低下や低血糖を伴う可能性がある。




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