軌道電子捕獲は、原子核の放射性崩壊の一種であり、原子核内の陽子が原子の内側の軌道にある電子(通常はK殻の電子)を捕獲して中性子に変化する現象である。この過程ではニュートリノが放出され、元素が別の元素に変化する。
1. 軌道電子捕獲の反応式
陽子+軌道電子→中性子+電子ニュートリノ
2. 軌道電子捕獲の仕組み
- 電子の捕獲:
- 原子核の陽子が、K殻(最内殻)やL殻(次の内側の殻)の電子を捕獲する。
- この捕獲によって陽子が中性子に変わる。
- ニュートリノの放出:
- 陽子が中性子に変化するとき、電子ニュートリノが放出される。
- 軌道再配置:
- K殻やL殻から電子が抜けたことで電子の空孔(穴)が生じ、外側の電子が内側に移動して安定化する。このとき、エネルギーが放出され、特性X線やオージェ電子が放出されることがある。
3. 軌道電子捕獲とβ+壊変の関係
- エネルギー条件: 軌道電子捕獲は、β+壊変(陽電子放出)と競合する反応であり、どちらが起こるかはエネルギー条件や核の性質に依存する。
- 核のエネルギー差が1.022 MeV(陽電子と電子の質量に相当)未満の場合、β+壊変は起こらず、軌道電子捕獲が唯一の崩壊モードとなる。
4. 特徴
- 特性X線の放出: 捕獲された電子の穴を埋めるために、外殻の電子が内側に移動するとき、特性X線が放出される。
- オージェ電子の放出: 放出されたエネルギーが別の電子に伝わることで、その電子が原子から放出される現象。
- ニュートリノの放出: 軌道電子捕獲の結果、ニュートリノが生成されるが、電荷を持たず、質量が非常に小さいため検出が困難。




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