解糖系(Glycolysis)は、グルコース(ブドウ糖)をピルビン酸に分解し、ATPを産生する代謝経路 であり、細胞のエネルギー供給の中心的な役割 を果たす。
🔹 解糖系の概要
- 場所:細胞質(細胞質基質)
- 基質:グルコース(C₆H₁₂O₆)
- 最終産物:ピルビン酸(C₃H₄O₃)×2
- ATP産生:2ATP(※総産生は4ATPだが、最初に2ATPを消費するため差し引き2ATP)
- 補酵素の関与:NAD+がNADHに還元される
🔹 解糖系の10段階(主要な反応)
解糖系は 前半(エネルギー消費段階) と 後半(エネルギー産生段階) に分けられる。
🔸 前半:エネルギー消費段階(1~5段階)
ATPを2分子消費し、グルコースを活性化する。
1️⃣ グルコース → グルコース-6-リン酸
(ATP消費)
酵素:ヘキソキナーゼ
2️⃣ グルコース-6-リン酸 → フルクトース-6-リン酸
酵素:グルコース6-リン酸イソメラーゼ
3️⃣ フルクトース-6-リン酸 → フルクトース-1,6-ビスリン酸
(ATP消費、律速段階)
酵素:6–ホスホフルクトキナーゼ
ATPが過剰に存在すると、6–ホスホフルクトキナーゼの活性が低下
ADP、AMPが蓄積すると、6–ホスホフルクトキナーゼの活性が上昇
4️⃣ フルクトース-1,6-ビスリン酸 → グリセルアルデヒド-3-リン酸(G3P) + ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)
酵素:アルドラーゼ
5️⃣ DHAP → G3P(両者が相互変換可能)
👉 ここで、1分子のグルコースから2分子のG3Pができる。
🔸 後半:エネルギー産生段階(6~10段階)
ピルビン酸を生成し、ATPを産生する。
6️⃣ G3P → 1,3-ビスホスホグリセリン酸
(NADH産生)
酵素:グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ
7️⃣ 1,3-ビスホスホグリセリン酸 → 3-ホスホグリセリン酸
(ATP産生)
酵素:ホスホグリセリン酸キナーゼ
8️⃣ 3-ホスホグリセリン酸 → 2-ホスホグリセリン酸
酵素:ホスホグリセリン酸キナーゼ
9️⃣ 2-ホスホグリセリン酸 → ホスホエノールピルビン酸(PEP)
酵素:エノターゼ
🔟 PEP → ピルビン酸
(ATP産生)
酵素:ピルビン酸キナーゼ
👉 ここで、1分子のグルコースから合計4分子のATPが産生される。
(ただし、前半で2ATP消費したため、全体では2ATP産生される)
🔹 解糖系の特徴
✅ 酸素を必要としない(嫌気的条件でも進行する)
✅ 短時間でATPを産生できるため、筋肉細胞でのエネルギー供給に重要
✅ 解糖系の最終産物(ピルビン酸)は、さらなるエネルギー産生へ
- 好気的条件:ピルビン酸はミトコンドリアへ運ばれ、クエン酸回路(TCA回路)と電子伝達系で大量のATPを産生
- 嫌気的条件:乳酸デヒドロゲナーゼによって乳酸に変換
🔹 解糖系の生理的意義
- 赤血球:ミトコンドリアを持たないため、ATP産生は解糖系のみ
- 筋細胞:激しい運動時に解糖系が活性化(酸素供給が追いつかない場合、乳酸生成)
🔹 まとめ
✅ グルコース → ピルビン酸へと分解する10段階の経路
✅ 細胞のエネルギー供給に不可欠(2ATPと2NADHを産生)
✅ 酸素がなくても進行するため、短時間でのATP産生に重要




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