化学反応や物理変化が「自然に起こるかどうか」を見極めるには、エンタルピー(H)、エントロピー(S)、ギブズエネルギー(G)という3つの熱力学的量の理解が不可欠です。
ここでは、それぞれの意味と関係式をわかりやすく整理します。
1. エンタルピー(H)とは?
エンタルピーとは、定圧条件下での熱(q)の出入りを表す量です。
熱力学第一法則:ΔU=q+w=q-pΔV
定圧条件下(p一定)では、ΔH=qとなり、ΔU=ΔH-pΔVが成立します。
定圧条件で加えた熱(q)は、系のエンタルピー変化(ΔH)に等しいということです。
-
ΔH > 0:吸熱過程(系が熱を吸収)
-
ΔH < 0:発熱過程(系が熱を放出)
2. エントロピー(S)とは?
エントロピーは、乱雑さの度合いを数値化したものです。
固体 → 液体 → 気体 のように分子が自由になるほど、エントロピーは増加します。
たとえば、融解・蒸発・混合などの過程ではエントロピーが増えます。
エントロピーの変化量(ΔS)は次の式で表されます
ΔS=q/T
※Tは絶対温度(K)、qは可逆過程における熱の出入り量です。
3. ギブズエネルギー(G)とは?
ギブズエネルギーは、系が持つエネルギーの中で外部に対して仕事をする能力を表す指標です。
G=H-T・S
エンタルピー(H)とエントロピー(S)を組み合わせた式で、温度(T)の影響も加味されます。
ギブズエネルギーの変化量(ΔG):
定温・定圧条件下では、次の式が成り立ちます。
ΔG=ΔH-T・ΔS
4. 自発的な変化を見分けるには?
反応が自発的に進むかどうかは、ΔGの符号を見ることで判断できます。
| ΔGの値 | 意味 | 反応の進行 |
|---|---|---|
| ΔG < 0 | 自発的に進行 | ✅ 起こる |
| ΔG > 0 | 非自発的 | ❌ 起こらない |
| ΔG = 0 | 平衡状態 | ⏸ 変化しない |
まとめ:3つの量の関係を整理
| 指標 | 表すもの | 代表式 |
|---|---|---|
| エンタルピー H | 熱の出入り | ΔH = q(定圧条件) |
| エントロピー S | 乱雑さの変化 | ΔS = q/T(可逆過程) |
| ギブズエネルギー G | 自発変化の指標 | ΔG = ΔH − TΔS |
自然に起こる変化は「エネルギーを減らし、エントロピーを増やす」方向に進む。
この原則を数式で表したのがギブズエネルギーなのです。
今後、化学反応の平衡やエネルギー変化を学ぶ上で、これらの概念は非常に重要になります。
◉関連問題を解いて理解を深めよう
🔍 より詳しい解説は、電子黒板を用いた動画講義でご覧いただけます。
国家試験の得点源に直結する重要ポイントを、視覚的にわかりやすく整理しています。
→ [▶ 動画講義はこちら(YAKUZEROプレミアムコース)]



コメント