耐容一日摂取量(TDI)とは、食品や環境中に含まれる化学物質(主に汚染物質や環境由来の有害物質)について、人が生涯にわたり毎日摂取し続けても健康に悪影響を及ぼさないと推定される1日の摂取量を指す。
1. 基本的な定義
- 単位: 体重1kgあたりの摂取量(mg/kg体重/日 または μg/kg体重/日)。
- 対象: 食品中の自然発生する有害物質や意図しない混入物。
- 例: ダイオキシン、重金属(鉛、カドミウム、ヒ素など)、マイコトキシン。
- 目的: 食品汚染物質の長期摂取による慢性毒性のリスク管理。
2. 設定方法
- 無毒性量(NOAEL)または最小毒性量(LOAEL)の決定:
- 動物実験や疫学データに基づき、毒性が認められない最大摂取量(NOAEL)または、毒性が認められる最小摂取量(LOAEL)を基準とする。
- 安全係数(不確実係数)の適用:
- NOAELやLOAELに対し、個体差や動物と人間の違いを考慮し、通常は100~1000倍の安全係数を設定。
- 例: NOAELが10 mg/kg体重/日であれば、TDIは0.1 mg/kg体重/日となる(100倍の安全係数を使用した場合)。
- NOAELやLOAELに対し、個体差や動物と人間の違いを考慮し、通常は100~1000倍の安全係数を設定。
3. ADIとの違い
- 許容一日摂取量(ADI):
- 主に食品添加物や農薬、動物用医薬品などの意図的に使用される化学物質を対象とする。
- 耐容一日摂取量(TDI):
- 食品や環境中に意図せず含まれる有害物質(汚染物質)を対象とする。
- TDIは通常、規制が困難な化学物質に対するリスク評価として使用される。
4. 主な対象物質
- 重金属:
- 鉛、カドミウム、ヒ素、水銀。
- 有機汚染物質:
- ダイオキシン、ポリ塩化ビフェニル(PCB)。
- 自然由来の毒素:
- マイコトキシン(カビ毒)、植物性毒素。
5. 意義と役割
- 健康リスクの低減:
- 長期的な慢性毒性のリスクを評価し、安全な摂取量を管理する。
6. 実際の運用
- 食品中の基準値設定:
- TDIを基に食品中の最大残留基準値(MRL)や汚染物質の許容濃度が設定される。
- 例: 魚類に含まれるメチル水銀や穀物中のカドミウム濃度。
- リスク管理と監視:
- 規制値を超えた食品が市場に流通しないよう、監視や検査が行われる。




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