29歳女性。既婚。3年前に夫をドナーとした生体腎移植(ABO血液型適合)を受け、拒絶反応を抑制するため免疫抑制薬を以下の処方で服用しながら、生活をしている。腎移植後、体調がよくなり生活も安定してきたので、子供を欲しいと思うようになった。

問294(病態・薬物治療)
患者の希望を考慮すると、今後の免疫抑制薬として選択可能なのはどれか。2つ選べ。
- シクロスポリン
- タクロリムス
- バシリキシマブ
- ミゾリビン
- エベロリムス
解答・解説
解答
1、2
解説
妊娠を希望する女性に免疫抑制薬を投与する際には胎児への影響を考慮する必要がある。妊娠を希望する患者に対して使用可能な免疫抑制薬として、シクロスポリン、タクロリムスがある。両剤は、胎盤を通過するが、妊娠中の使用が治療上必要と判断される場合には使用することが可能である。ただし、早産・低出生体重・奇形などのリスクがあるため、リスクとベネフィットを評価して慎重に用いる必要がある。なお、バシリキシマブ、ミゾリビン、エベロリムスは、妊娠中または妊娠の可能性がある女性には投与禁忌である。
問295(実務)
1年後、この患者は妊娠したが、妊娠第25週目になって血圧の上昇(154/112mmHg)がみられたため入院し、降圧療法を行うことになった。なお、入院時の血液検査結果は以下のとおりである。

この患者に対して禁忌ではなく、用いることができる降圧薬はどれか。2つ選べ。
- アテノロール
- エナラプリルマレイン酸塩
- エサキセレノン
- バルサルタン
- ニフェジピン
解答・解説
解答
1、5
解説
本症例では、妊娠高血圧(140/90 mmHg以上)に加えて、血清カリウム値が5.2 mEq/Lと高値であり、高カリウム血症を伴っている。このため、降圧薬の選択においては、妊娠および電解質異常の両方を考慮する必要がある。
妊娠中には、ACE阻害薬(例:エナラプリル)やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(例:バルサルタン)は、胎児の腎形成異常や羊水過少、胎児死亡などの重大なリスクがあるため投与禁忌である。さらに、選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(例:エサキセレノン)は高カリウム血症を悪化させる可能性があるため、本症例では使用すべきでない。
一方、妊娠時に使用可能な降圧薬としては、β受容体遮断薬(アテノロール)、Ca拮抗薬(ニフェジピン)、α2受容体刺激薬(メチルドパ)、血管拡張薬(ヒドララジン)などがある。
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