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第110回薬剤師国家試験 問236〜237

50歳男性。慢性腎臓病ステージ3b。脳梗塞急性期で経口摂取できず、3日間末梢静脈栄養を投与していたが、栄養不足が懸念されることから、主治医より完全静脈栄養(Total Parenteral NutritionTPN)の処方設計について薬剤師に相談があり、協働して実施することになった。

問236(実務)
処方を設計する際に、検討すべきこととして適切なのはどれか。2選べ。

  1. 腎機能への影響を考慮し、分岐鎖アミノ酸(BCAA)を投与する。
  2. 低リン血症のリスクがあるため、リン酸二カリウム製剤を投与する。
  3. 代謝性アルカローシスのリスクがあるため、生理食塩液や塩化カリウム製剤を投与する。
  4. 低カルシウム血症のリスクがあるため、活性型ビタミンD3製剤を投与する。
  5. 腎不全が進行した場合、カリウム製剤を積極的に投与する。
解答・解説

解答
14

解説
1 正
慢性腎臓病(CKD)患者では、タンパク質制限や食欲不振、炎症性サイトカインの影響などにより、筋肉量の減少や栄養障害が生じやすい。特に、分岐鎖アミノ酸(BCAA:バリン・ロイシン・イソロイシン)は体内で合成できない必須アミノ酸であり、摂取不足が問題となる。BCAAは筋肉の維持、肝機能改善、エネルギー源として重要な役割を果たすため、CKD患者に対してはBCAAを含む栄養補助が推奨される場合がある。

2 誤
CKDでは、腎機能の低下によりリンの排泄能力が低下し、高リン血症になりやすい。高リン血症は二次性副甲状腺機能亢進症や血管石灰化のリスクを高め、心血管疾患の原因にもなる。

3 誤
CKD患者では、カリウム排泄の低下により高カリウム血症をきたしやすくなる。塩化カリウム製剤はカリウム補充薬であるため、高カリウム血症のリスクをさらに高めるおそれがある。CKDでは代謝性アシドーシスが起こることがあり、その補正には炭酸水素ナトリウムの投与が推奨される。

4 正
CKDでは、腎臓におけるビタミンDの活性化が障害される。この結果、活性型ビタミンD(カルシトリオール)の不足が生じ、腸管からのカルシウム吸収が低下する。結果として、低カルシウム血症や副甲状腺ホルモン(PTH)の過剰分泌が引き起こされる。そのため、CKD患者では活性型ビタミンD₃製剤を補充し、低カルシウム血症や副甲状腺機能亢進症を予防・改善することが重要である。

5 誤
腎不全が進行すると、腎臓からのカリウム排泄が大幅に低下する。これにより、血清カリウム値が上昇し、高カリウム血症による致死的な不整脈(心停止など)のリスクが高まる。

問237(衛生)
この男性へのTPNの処方として、ブドウ糖含有率50%の基本輸液500mL、脂肪乳剤(ダイズ油20%100mL、アミノ酸を5%含む総合アミノ酸輸液375mL、高カロリー輸液用微量元素製剤2mL、総合ビタミン剤5mLを設計した。Atwater係数を用いて計算した場合、この処方における非タンパク質カロリー/窒素比(NPC/N)の値として最も近いのはどれか。1つ選べ。

ただし、脂肪乳剤(ダイズ油20%100mLに含まれる熱量を200kcal、アミノ酸は16%の窒素を含むものとする。

  1. 100
  2. 200
  3. 300
  4. 400
  5. 500
解答・解説

解答
4

解説
ステップ:非タンパク質カロリー(NPC)の計算
・ブドウ糖含有率50%の輸液:500 mL
糖質:500 mL×0.5 = 250 g
エネルギー換算:250 g×4 kcal/g = 1,000 kcal

・脂肪乳剤(ダイズ油20%100 mL
エネルギー:200 kcal(問題文で指定)
→ よって、非タンパク質カロリー(NPC = 1,000 + 200 = 1,200 kcal

ステップ:窒素量(N)の計算
・総アミノ酸輸液 375 mL5%濃度
アミノ酸量:375 mL × 0.05 = 18.75 g
・アミノ酸中の窒素割合は16%なので
窒素量 = 18.75 g × 0.16 = 3 g

ステップNPC/N比を求める
NPC/N比=1,200 kcal÷3 g=400

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