石綿(アスベスト)とは、天然に産出される繊維状ケイ酸塩鉱物の総称である。耐熱性、耐薬品性、断熱性、絶縁性に優れた特性を持つため、建材や工業製品として広く使用されてきた。しかし、その繊維を吸入すると健康障害を引き起こすことが明らかになり、多くの国で使用が禁止または制限されている。
1. 石綿の用途
石綿はその特性を活かして、以下の用途で利用されてきた:
- 建材:
- 吹き付け石綿、断熱材、耐火被覆材、スレート屋根、ボード類。
- 工業製品:
- ブレーキパッド、クラッチ部品、ガスケット。
- その他:
- 繊維補強材、ろ過材、電気絶縁材。
2. 健康への影響
石綿繊維を吸入すると、体内に蓄積し以下の健康障害を引き起こす:
- アスベスト肺(石綿肺):
- 石綿繊維が肺に沈着し、線維化を引き起こす疾患。
- 主な症状:呼吸困難、咳。
- 中皮腫:
- 胸膜や腹膜に発生する悪性腫瘍。発症までに長い潜伏期間がある(約20~50年)。
- 肺がん:
- 特に喫煙者では石綿曝露による肺がんリスクがさらに高まる。
- その他:
- 石綿による喉頭がん、卵巣がんなども報告されている。
3. 石綿の危険性
- 繊維の微小性:
- 石綿繊維は極めて細かく、目視で確認できないほどの微粒子であるため、容易に空気中に浮遊する。
- 体内で分解されない:
- 吸入された石綿繊維は肺や組織内で分解されず、長期間蓄積する。
- 潜伏期間の長さ:
- 石綿関連疾患は、曝露後数十年経過してから発症することが多い。
4. 石綿規制
- 日本における規制:
- すべての石綿の製造、使用、輸入が原則禁止。
- 労働安全衛生法や大気汚染防止法に基づき、石綿曝露防止措置が義務付けられている。
- 国際的な取り組み:
- 多くの国で石綿の使用は禁止または厳しく制限されている。
- 国際労働機関(ILO)や世界保健機関(WHO)は、石綿使用の全廃を推奨している。
5. 石綿除去と管理
- 除去作業:
- 建物解体時に専門業者が石綿含有建材を適切に除去する。
- 作業中の粉じん飛散防止が重要である。
- 管理措置:
- 石綿含有建材が現存する場合は、適切に封じ込めや囲い込みを行い、劣化の進行を防ぐ。
6. 石綿に関する健康診断
石綿に曝露する可能性がある作業従事者に対しては、特殊健康診断が義務付けられている。これには以下が含まれる:
- 問診(曝露歴の確認)。
- 胸部X線検査。
- 肺機能検査。




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