1 腎細胞がん
【概要】
腎細胞がんは、腎臓(特に皮質部)から発生する悪性腫瘍である。発症年齢は50~70歳代に多く、男性にやや多くみられる。発症リスクとして、肥満・高血圧・喫煙習慣・化学物質の曝露などが関与している。
また、遺伝的背景として、3番染色体に存在するVHL(von Hippel-Lindau)遺伝子の異常が淡明細胞型腎細胞がんと関係し、7番染色体のc-MET遺伝子異常は乳頭状腎細胞がんと関与することが示唆されている。
【症状】
血尿、腰背部痛、腹部に触れる腫瘤の3つが代表的な症状であるが、無症状で健康診断や他疾患の検査中に偶然発見されるケースも少なくない。
【治療】
転移のない限局症例においては、外科的な腎摘除術が根治を目指す第一選択の治療法である。
薬物療法では、mTOR阻害薬(エベロリムス、テムシロリムス)や、免疫療法に使用されるインターフェロン製剤、インターロイキン-2製剤(例:テセロイキン)などが使用される。
分子標的治療薬としては、チロシンキナーゼ阻害薬(パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ)などが挙げられ、mTOR阻害薬との併用も検討される。
また、近年ではニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、イピリムマブといった免疫チェックポイント阻害薬の適応も広がっており、治療選択肢は多様化している。
2 腎盂・尿管腫瘍
【概要】
腎盂や尿管に発生する腫瘍の大多数(約90%以上)は尿路上皮(移行上皮)由来である。
【腫瘍の主な発生部位】
腎盂がん:腎盂内の尿路上皮から発生
尿管がん:尿管の尿路上皮から発生
腎細胞がん:腎実質の尿細管上皮細胞から発生し、尿路上皮がんとは病態が異なる
【症状】
肉眼的血尿(鮮明に赤い尿)が頻繁にみられる
腫瘍によって尿の流れが妨げられると、尿路閉塞による腰背部痛や側腹部痛が生じることもある
【治療】
転移や浸潤がない限局例
腎尿管全摘除術(腎臓と尿管の一括切除)が標準的な治療とされる
浸潤・転移を伴う進行例
化学療法が中心となるが、治療反応性は限定的であり、予後は不良とされる
3膀胱がん
【概要】
膀胱がんの約90%以上は尿路上皮(移行上皮)由来であり、60〜70歳代の男性に多く発症する。
発がんリスクとしては、芳香族アミン(ベンジジン、2-ナフチルアミン、4-アミノビフェニル)への長期曝露や、喫煙が重要な危険因子とされている。
【症状】
初期には自覚症状に乏しいが、無痛性の肉眼的血尿(無症候性血尿)が最も頻度の高い初発症状である。
【治療】
筋層非浸潤性膀胱がん(表在性腫瘍)に対しては、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)が標準的に実施される。
再発の予防や進行の抑制を目的として、以下のような補助療法が選択されることがある。
- マイトマイシンCやドキソルビシンなどの抗がん薬による膀胱内注入療法
- ゲムシタビン+シスプラチン併用の全身化学療法(GC療法)
- BCG(ウシ型弱毒化結核菌)による膀胱内注入療法






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