1 悪性リンパ腫
【概念】
悪性リンパ腫とは、B細胞またはT細胞が腫瘍化し、増殖して腫瘤を形成する疾患である。リンパ節、脾臓、肝臓、腸管などのリンパ系組織に加え、皮膚や中枢神経、鼻腔、胃、骨、乳腺など、さまざまな非リンパ系組織にも発生することがある。特に、胃に局在するMALTリンパ腫はHelicobacter pyloriの感染が関与しており、除菌療法により寛解が得られることがある。
WHO分類では、悪性リンパ腫はその組織像や進展様式によって、「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」に大別される。さらに、非ホジキンリンパ腫はB細胞性リンパ腫とT/NK細胞性リンパ腫に細分される。
【分類】
◉ ホジキンリンパ腫(約10%)
・古典的なホジキンリンパ腫が主体
・ホジキン細胞やReed-Sternberg細胞といった特徴的な腫瘍細胞が出現
・若年層から中高年層に好発
◉ 非ホジキンリンパ腫(約90%)
・ホジキンリンパ腫以外のリンパ腫を指す
・B細胞性腫瘍とT/NK細胞性腫瘍に分類される
・50~60歳代に多く発症
【症状】
初期には、無痛性のリンパ節腫脹がみられることが多い。胸部・腹部・腋窩・鼠径部などのリンパ節に加えて、上大静脈症候群や下肢の浮腫、神経症状なども出現する。進行例では、発熱・盗汗・体重減少といった「B症状」が現れることもある。
【治療】
治療方針は、病理組織型や進行度、全身状態を踏まえて決定される。
2 多発性骨髄腫(Multiple Myeloma)
【概念】
多発性骨髄腫は、Bリンパ球系列の最終分化段階にある形質細胞が腫瘍化し、単クローン性に増殖する疾患である。腫瘍化した形質細胞(骨髄腫細胞)は、異常免疫グロブリン(Mタンパク)を過剰に産生する。Mタンパクの蓄積により、骨病変や腎障害、免疫抑制など多彩な症状が出現する。
【疫学】
中高年の男性に好発し、特に高齢者に多い。
【病態】
腫瘍化した形質細胞は正常な造血機能を抑制し、貧血、血小板減少、白血球減少を生じる。さらに、Mタンパクが大量に産生されることで、正常な免疫グロブリンの低下や血液の粘稠度上昇が起こり、感染症のリスク増加や腎機能障害につながる。また、破骨細胞が活性化されることにより、骨吸収が亢進し、骨折や骨痛、高カルシウム血症を引き起こす。
【症状】
骨の疼痛、病的骨折、高カルシウム血症、腎機能障害、貧血による倦怠感、易感染性
【検査】
・血液検査
正球性正色素性貧血、白血球・血小板の減少、赤血球の連銭形成(理由:Mタンパクによる血液の高粘稠度)
・炎症所見
CRP陽性、赤沈亢進
・尿検査
ベンス・ジョーンズタンパク(L鎖由来免疫グロブリン)陽性
・画像検査(X線)
骨抜き打ち像(打ち抜かれたような骨病変)







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