平衡透析法は、溶液中の低分子物質やイオンが半透膜を通じて自由に移動できる性質を利用して、分子間の結合状態や親和性を評価するための実験手法である。特に、タンパク質とリガンド(薬物、金属イオン、その他の低分子)の相互作用を定量的に解析する際によく用いられる。
基本的な原理
平衡透析は、以下のような原理に基づいている:
- 半透膜の性質
半透膜は、特定の分子量以下の分子(通常は低分子)だけを通過させる。高分子(タンパク質など)は膜を通過できない。 - 濃度勾配の解消
低分子物質は半透膜を通じて拡散し、両側の濃度が平衡状態に達する。 - 結合と非結合状態の分離
高分子(例:タンパク質)と結合していない低分子(自由型リガンド)は膜を通過するが、結合型リガンドは高分子と一緒に膜を通過できない。この性質を利用して、結合型と自由型の濃度を測定する。
実験手順
- 透析セルの準備
- 透析セルは2つの部室に分かれており、それらの間に半透膜が配置される。
- 一方の部室に高分子(例:タンパク質とリガンドを含む溶液)を入れ、もう一方の部室にリガンドのみを含む溶液を入れる。
- 平衡状態への到達
- 透析セルを一定温度下で一定時間保持し、低分子(リガンド)が半透膜を通じて拡散する。
- 時間が経過すると、自由型リガンドは両部室間で平衡状態に達する。
- 濃度の測定
- 平衡状態に達した後、それぞれの部室のリガンド濃度を測定する。
- 結合の計算
- 測定データをもとに、タンパク質に結合したリガンドの量と自由型リガンドの量を計算する。
- この情報から結合定数(親和性)を求める。
主な応用例
- タンパク質-リガンドの結合解析
- 酵素と基質、受容体とホルモン、抗体と抗原の結合親和性を測定する。
- 薬物動態解析
- 血清タンパク質(アルブミン)と薬物の結合性を評価し、薬物の遊離型濃度を推定する。




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