モルヒネは、ケシ(Papaver somniferum)の未熟果実から得られる天然のアルカロイドであり、強力な鎮痛作用を持つ薬物である。医療用麻薬として、主に中等度から重度の痛みを緩和する目的で使用される。
1. 化学構造と性質
- 構造:
- モルフィナン骨格を持ち、フェノール性ヒドロキシ基や第三級アミンを含む。
- 中枢神経系での作用に重要な立体構造を有する。
- 性状: 白色またはほぼ白色の結晶性粉末で、水やアルコールに可溶。
2. 作用機序
- オピオイド受容体への結合:
- 脳や脊髄のオピオイド受容体(特にμ受容体)に結合する。
- 痛みの伝達を抑制し、鎮痛作用を発揮する。
3. 医療用途
- 適応症:
- がん性疼痛などの慢性痛。
- 手術後の急性痛。
- 心筋梗塞に伴う激しい痛み。
- 呼吸困難を伴う終末期医療(呼吸困難感の緩和)。
- 投与経路:
- 経口、注射(静脈内、筋肉内、皮下注)、坐剤、経皮パッチ。
4. 副作用
- 一般的な副作用:
- 便秘、悪心、嘔吐、めまい、鎮静。
- 重篤な副作用:
- 呼吸抑制: 高用量または過量投与時に起こり、致命的となる可能性がある。
- 耐性: 長期使用により薬効が低下し、用量が増加する。
- 依存性:
- 精神的依存と身体的依存が生じる。
- 離脱症状(不安、不眠、発汗、筋肉痛など)が現れる。
5. 法規制
- 日本では麻薬及び向精神薬取締法の下で管理される。
6. 非医療使用と乱用
- 乱用目的:
- 多幸感を求めて非合法に使用されることがある。
- 非合法市場での流通や乱用が社会問題となることもある。
- リスク:
- 依存症、過量摂取による致死的な呼吸抑制。






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