モノアミン酸化酵素(MAO: Monoamine Oxidase)は、モノアミンと呼ばれる化学物質を分解する酵素であり、神経伝達物質の代謝に重要な役割を果たしている。MAOは主に中枢神経系や末梢神経系、肝臓、腸内などの組織に存在し、神経伝達物質やホルモンの適切な濃度を維持するために機能している。
主な役割
- 神経伝達物質の分解
MAOは、以下のような神経伝達物質を分解し、不活性化する:- カテコールアミン(ドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン)
- セロトニン
- ヒスタミン
- ホルモンの調節
- 血液中のモノアミンホルモン(例:アドレナリン、ノルアドレナリン)の適切な濃度を調整する。
- 有害物質の解毒
- 外因性アミン(食品に含まれるモノアミン類)を分解し、毒性を防ぐ。
作用機序
MAOは、モノアミン基質からアミノ基を酸化的に除去し、以下の代謝産物を生成する:
- ドパミン → ドパルデヒド(アルデヒド) → 最終的にホモバニリン酸(HVA)
MAOの関連疾患
- うつ病
- MAOがセロトニンやノルアドレナリンを過剰に分解することで、神経伝達物質の不足が引き起こされる可能性がある。
- パーキンソン病
- MAOによるドパミンの過剰分解が、ドパミン不足を悪化させる。
- 褐色細胞腫やカルチノイド症候群
- モノアミン代謝が異常をきたすことで、過剰な代謝産物が蓄積する。
治療におけるMAO阻害薬
MAO阻害薬は、MAOの働きを抑制し、モノアミン濃度を増加させる薬剤である。以下のような疾患に用いられる:
- パーキンソン病
- MAO-Bを選択的に阻害する薬剤(例:セレギリン、ラサギリン)がドパミンの分解を抑制し、症状を改善する。
MAO阻害薬の注意点
MAO阻害薬の使用には注意が必要であり、以下の点が問題となる:
- チラミン反応(高血圧危機)
チラミン(チーズや赤ワインなどに含まれる物質)は、MAOによって分解される。MAO阻害薬を服用中にチラミンを多量に摂取すると、血圧が急激に上昇する危険性がある。 - 相互作用
他の抗うつ薬や薬剤(例:セロトニン症候群を引き起こす可能性)との併用には注意が必要。




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