パラトルモン(PTH)は、副甲状腺から分泌されるホルモンであり、血中のカルシウム濃度の上昇およびリン酸濃度の低下に関与している。骨や腎臓、腸管に作用し、カルシウム代謝の恒常性を維持する重要な役割を果たしている。
構造と分泌
- 構造
- パラトルモンは、84個のアミノ酸からなるペプチドホルモン。
- 分泌の調節
- 血中のカルシウム濃度が低下すると、副甲状腺が感知してPTHの分泌を促進する。
- 一方、血中カルシウム濃度が上昇すると分泌が抑制される(負のフィードバック制御)。
- 血中のリン濃度や活性型ビタミンD(カルシトリオール)もPTH分泌に影響を与える。
主な作用
PTHは、主に骨、腎臓、腸管の3つの部位で作用し、以下のようにカルシウム濃度を調節する。
- 骨での作用
- PTHは骨に存在する破骨細胞の活動を促進し、骨基質からカルシウムとリンを放出することで、血中カルシウム濃度を上昇させる。
- 腎臓での作用
- 腎臓の近位尿細管でのリンの再吸収を抑制し、尿中への排泄を増加させる(リン濃度低下)。
- 遠位尿細管でのカルシウムの再吸収を促進し、尿中カルシウム排泄を減少させる。
- 腸管での作用
- PTHは、腎臓での活性型ビタミンD(1,25-ジヒドロキシビタミンD3)の生成を促進する。
- 活性型ビタミンDは腸管でのカルシウム吸収を増加させ、間接的に血中カルシウム濃度を上昇させる。
役割と意義
- 血中カルシウム濃度の調節
- PTHは、血中カルシウム濃度が低下したときに分泌され、濃度を正常範囲内(約8.5~10.5 mg/dL)に維持する役割を果たす。
- 骨代謝の調整
- PTHは骨吸収を促進する一方、適切な分泌量であれば骨形成をも活性化する。
- 骨リモデリング(骨の分解と再形成のサイクル)において重要な調整因子である。
- リン酸濃度の調節
- 血中リン濃度を低下させることで、カルシウムとリンの適切なバランスを保つ。
異常分泌による病態
- 副甲状腺機能亢進症(PTH過剰)
- 原因: 副甲状腺の腫瘍や過形成。
- 影響: 骨吸収の増加により、骨粗鬆症や骨軟化症を引き起こす。高カルシウム血症により腎結石や消化器症状を伴うことがある。
- 副甲状腺機能低下症(PTH不足)
- 原因: 副甲状腺の損傷や先天的欠損。
- 影響: 低カルシウム血症を引き起こし、筋肉のけいれん(テタニー)や痺れを伴う。
- 偽性副甲状腺機能低下症
- 原因: PTHの標的組織での反応性低下(PTHは正常または高値)。
- 影響: 低カルシウム血症や高リン血症。
治療への応用
- 骨粗鬆症
- 合成PTH製剤(例: テリパラチド)は骨形成を促進し、骨密度を改善するため、骨粗鬆症治療に用いられる。
- 低カルシウム血症
- PTH欠乏による低カルシウム血症では、カルシウム製剤やビタミンD補充が行われる。




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