ニコチンは、化学式 C₁₀H₁₄N₂ で示されるアルカロイドであり、主にタバコの葉に含まれている自然由来の化学物質である。ニコチンは中枢神経系に作用し、主に喫煙やタバコ製品を通じて人体に摂取される。
1. 化学構造と性質
- 化学構造:
- ニコチンは、ピリジン環とピペリジン環を持つ二環式のアルカロイドであり、これらの環が窒素原子を含んでいる。
- 物理的性質:
- 無色から淡黄色の油状液体であり、揮発性が高い。
- 塩基性物質であり、口腔内が酸性に傾くと口腔粘膜からの吸収が低下する。
2. ニコチンの作用
ニコチンは、中枢神経系および末梢神経系に影響を与える化学物質で、主にアセチルコリン受容体(ニコチン受容体)に作用する。これにより、神経伝達が促進され、以下のような影響が現れる
- 刺激作用:
- ニコチンは、交感神経を刺激し、心拍数や血圧の上昇を引き起こす。これにより、興奮や覚醒状態が生じる。
- 依存性:
- ニコチンは、依存性が非常に強い物質である。ニコチンが脳内のドーパミンの分泌を促進するため、快感や報酬感覚を引き起こし、これが喫煙やタバコの使用を継続させる要因となる。
- 薬理学的作用:
- 覚醒作用、集中力の向上、および一時的な疲労感の軽減など、短期的な効果があるが、長期的には健康に害を及ぼすリスクが高い。
3. 健康への影響
ニコチン自体は、健康に対して直接的な有害作用を及ぼすほか、タバコ煙の中の他の有害物質(タールや一酸化炭素など)との組み合わせでさらに深刻な影響を与える。
- 呼吸器系への影響:
- 喫煙によってニコチンとともにタバコ煙に含まれる有害物質が肺に入り、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺がんのリスクを増加させる。
- 依存症:
- ニコチンは強い依存性を持ち、喫煙者がタバコをやめることを非常に難しくする。禁煙治療においては、ニコチンを代替的に摂取するためのニコチンパッチやニコチンガムが使用される。
4. ニコチンの医療用途
ニコチンは、医学的に使用されることもある。主に禁煙治療の一環として、ニコチン代替療法(NRT: Nicotine Replacement Therapy)が利用される:
- 禁煙治療:
- ニコチンガムやニコチンパッチなどを使用して、喫煙者が段階的にニコチン摂取量を減少させ、最終的に禁煙を達成する手助けをする。
5. 中毒と過剰摂取
ニコチンは少量であれば覚醒作用を引き起こすが、過剰に摂取すると中毒を引き起こす可能性がある:
- 急性中毒症状:
- 吐き気、嘔吐、下痢、発汗、頭痛、めまいなどの症状が現れる。
- 高濃度で摂取すると、呼吸困難や痙攣を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもある。





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