トロンボキサンA2 (TXA2) は、アラキドン酸カスケードにおける代謝産物の一つで、血小板の凝集と血管収縮を促進する作用を持つ生理活性物質である。トロンボキサンA2はエイコサノイドと呼ばれる脂質性分子群に属し、主に血小板で産生される。
生成過程
- アラキドン酸の放出
- 細胞膜のリン脂質からアラキドン酸がホスホリパーゼA2の作用で切り出される。
- アラキドン酸の代謝
- アラキドン酸は、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素の作用を受けて、プロスタグランジンに変換される。
- トロンボキサンA2の生成
- プロスタグランジンは、血小板内のトロンボキサン合成酵素によってトロンボキサンA2に変換される。
主な生理作用
- 血小板凝集の促進
- トロンボキサンA2は血小板膜上のトロンボキサン受容体(TP受容体)を活性化し、血小板同士が凝集するのを促進する。これにより、血栓が形成される。
- 血管収縮
- 血管平滑筋細胞のTP受容体に作用し、血管を収縮させる。これにより、止血を助ける効果がある。
- 炎症反応の調節
- トロンボキサンA2は炎症性プロセスにも関与しており、局所的な免疫反応を助ける役割を果たす。
トロンボキサンA2とプロスタグランジンI2(PGI2)のバランス
- トロンボキサンA2は血小板凝集や血管収縮を促進するのに対し、プロスタグランジンI2(PGI2, プロスタサイクリン)はその逆で、血小板凝集を抑制し血管を拡張させる作用を有している。
- この2つの物質のバランスは、血液の流動性や血栓形成の制御にとって非常に重要である。
病態との関連
- 血栓形成
- トロンボキサンA2の過剰な生成は、血小板の過剰な凝集を引き起こし、血栓症のリスクを高める。
- アテローム性動脈硬化
- 動脈硬化の進展においても、トロンボキサンA2の血管収縮作用が関与している。
- 抗血小板療法
- アスピリン(アセチルサリチル酸)はCOX酵素を阻害し、トロンボキサンA2の生成を抑制することで、血栓予防効果を発揮する。
医学的応用
- 抗血小板薬の開発
- トロンボキサンA2の生成や作用を抑制する薬剤(例:アスピリン、トロンボキサン受容体拮抗薬)は、心血管疾患の治療や予防に用いられる。




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