タンデムマス法(Tandem Mass Spectrometry, MS/MS)とは、質量分析計を2つ以上直列に配置して、化合物の詳細な構造や特性を解析するための方法である。この技術は、化合物の質量だけでなく、その分解生成物の質量や分子構造に関する情報を得ることを可能にし、高精度な分析に利用される。
基本的な原理
タンデムマス法では、以下の手順で分析が進められる:
- 一次質量分析(MS1)
試料をイオン化して生成したイオンを質量分析計で測定し、質量電荷比(m/z)に基づいて特定の母イオン(プレカーサーイオン)を選択する。 - イオン分離と衝突誘導解離(CID)
選択された母イオンを反応室(衝突セル)に送り、気体分子と衝突させることで、母イオンをフラグメントイオン(プロダクトイオン)に分解する。 - 二次質量分析(MS2)
フラグメントイオン(プロダクトイオン)を再び質量分析計で測定し、それぞれの質量電荷比(m/z)を解析する。
特徴
- 高い選択性
特定の母イオンのみを選択して解析できるため、混合物中の微量成分でも正確に分析できる。 - 構造情報の取得
母イオンから生成されたフラグメントイオンの質量スペクトルを解析することで、化学構造や結合の配置を推定できる。 - 多段階質量分析
必要に応じてMS3、MS4といったさらなる分解・分析を行うことで、より詳細な情報を得ることが可能。
応用
タンデムマス法は、さまざまな分野で利用されている:
- 医薬品開発
化合物の構造解析や代謝物の同定に使用される。 - プロテオミクス
タンパク質の分解生成物(ペプチド)の解析や翻訳後修飾の特定に応用される。 - 新生児マススクリーニング
利点と制限
利点
- 高感度かつ高選択性の分析が可能である。
- 微量試料の分析や複雑な混合物の分離に適している。
- 構造情報を直接的に得られる。
制限
- 装置が高価で、運用や保守に専門的な知識が必要である。
- 分析対象によってはイオン化が困難な場合がある。
- 複雑なスペクトルの解釈には経験や専門知識が必要である。




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