スコポラミンは、トロパンアルカロイドに分類される天然化合物で、主にナス科植物(ヒヨス、チョウセンアサガオ、ベラドンナなど)から抽出されます。薬理作用が強く、中枢神経系および副交感神経系に作用するため、医療用途や研究で広く利用されています。
1. 化学構造と物理的特性
- 化学式:
- 構造:
- トロパン骨格にエポキシ基(酸素橋)とエステル基が結合した構造を持つ。
- ヒヨスチアミンの異性体であり、化学的には近い構造。
2. 主な作用
- ムスカリン性アセチルコリン受容体の拮抗作用:
- 副交感神経を遮断し、さまざまな生理機能を抑制。
- 作用はアトロピンに類似するが、より中枢神経系への作用が強い。
- 中枢神経作用:
- 鎮静効果や抗不安作用を示し、動揺病(乗り物酔い)の予防に使用される。
- 大量投与で幻覚作用や記憶障害を引き起こすこともある。
3. 医療用途
スコポラミンは、その薬理作用からさまざまな医療分野で利用されます。
(1) 乗り物酔いの予防
- 動揺病(車酔い、船酔い)の予防に効果的。
- 中枢神経で平衡感覚を調整する働きがある。
(2) 鎮静・鎮痙薬
- 平滑筋を弛緩させるため、消化器系や泌尿器系の痙攣(腹痛、膀胱痙攣など)の治療に使用。
(3) 麻酔前投与
- 鎮静効果があり、手術前の不安軽減や唾液分泌の抑制に用いられる。
4. 副作用
スコポラミンの使用には副作用が伴うことがあります。
- 一般的な副作用:
- 口渇、便秘、排尿困難、視覚異常(散瞳によるぼやけ)。
- 中枢神経系への影響:
- 鎮静、混乱、幻覚、記憶障害。
- 過剰摂取の症状:
- 強い興奮、痙攣、昏睡。重度の場合、致死的になることもある。
5. 含有植物
スコポラミンは以下の植物に多く含まれます。
- ヒヨス (Hyoscyamus niger):
- 英名:Henbane
- 伝統的に薬用や催眠剤として使用されてきた。
- チョウセンアサガオ (Datura stramonium):
- 幻覚剤としての利用例があるが、毒性が強い。
- ベラドンナ (Atropa belladonna):
- 鎮痛薬や鎮痙薬の原料として利用。




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