サイクリン依存性キナーゼ(Cyclin-Dependent Kinase, CDK)は、細胞周期を調節するために中心的な役割を果たす酵素群である。これらの酵素は、サイクリン(Cyclin)と呼ばれる特定のタンパク質と結合することで活性化され、細胞周期の各段階を進行させるための標的タンパク質をリン酸化する。
特徴と基本的な性質
- サイクリン依存性
- CDK自体は不活性であり、特定のサイクリンが結合することで活性化される。
- サイクリンは細胞周期の特定の段階で合成・分解されるため、CDKの活性も細胞周期の進行に応じて制御される。
- キナーゼ活性
- CDKは、標的タンパク質のセリンやスレオニン残基をリン酸化することで、その機能を調節する。
- 細胞周期の各段階での役割
- CDKとサイクリンの組み合わせは、G1期、S期、G2期、M期の各段階で特異的な役割を果たす。
CDKの活性化と制御
CDKの活性は、以下の要因によって厳密に制御される:
- リン酸化
- 活性化リン酸化: CDK活性化キナーゼ(CAK)が特定の部位をリン酸化してCDKを活性化する。
- CDK阻害因子(CDK Inhibitors, CKIs)
- CKIはCDKとサイクリンの結合を阻害することで、細胞周期を停止させる。
- 主なCKIには以下がある:
- p21: DNA損傷応答でp53によって誘導される。
CDKの異常と疾患
- がん
- CDKの過剰活性化や、CKIの機能喪失が、がん細胞の異常増殖を引き起こす。
- 例:サイクリンDやCDK4/6の過剰発現は、乳がんや大腸がんで見られる。
- 細胞老化
- CKIの過剰活性化により、細胞周期が停止し、細胞老化が進行する。
- 神経変性疾患
- 神経細胞における異常なCDK活性化が、アルツハイマー病やパーキンソン病の病態進行に関与している。
治療への応用
- CDK4/6阻害剤
- 乳がん治療薬として開発された。例:パルボシクリブ(Palbociclib)。




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