コレステロール(Cholesterol)は、動物細胞膜や血液中に存在する脂質の一種であり、ステロイド系脂質に分類される。コレステロールは細胞膜の構造的安定性や流動性の維持、ホルモンや胆汁酸の前駆体として、生命活動において重要な役割を果たしている。
コレステロールの構造
コレステロールの分子構造は以下の要素で構成されている:
- ステロイド核
- 四環構造を持つ基本骨格。
- 脂肪族側鎖
- ステロイド核の一端に結合した炭化水素鎖。
- ヒドロキシ基(−OH基)
- ステロイド核の3位に結合し、わずかな親水性を与える。
この構造により、コレステロールは両親媒性分子となり、細胞膜の疎水性部分と親和性を持つ。
コレステロールの機能
- 細胞膜の構成成分
- コレステロールは細胞膜に埋め込まれ、膜の柔軟性、流動性、透過性を調節する。
- 特に、脂質ラフトと呼ばれる膜の特殊領域を形成し、シグナル伝達やタンパク質輸送に関与する。
- ステロイドホルモンの前駆体
- コレステロールは、副腎皮質ホルモン(コルチゾール、アルドステロン)や性ホルモン(エストロゲン、テストステロン)の合成に必要である。
- 胆汁酸の前駆体
- 肝臓で代謝されて胆汁酸が生成され、脂肪の消化と吸収を助ける。
- 細胞間シグナル伝達
- 細胞膜内でのシグナル伝達の効率を高めるために、コレステロールは重要な役割を果たしている。
コレステロールの代謝と輸送
コレステロールは体内で合成されるほか、食事からも摂取される。以下はその主な代謝と輸送経路である:
1. 合成
- 主に肝臓で行われ、アセチルCoAから合成される。
- HMG-CoA還元酵素は、コレステロール合成の律速段階であり、スタチン系薬剤によって抑制される。
2. 輸送
コレステロールは、血液中でリポタンパク質と結合して輸送される:
- LDL(低密度リポタンパク質)
- コレステロールを肝臓から末梢組織へ運ぶ。「悪玉コレステロール」と呼ばれる。
- HDL(高密度リポタンパク質)
- 余剰コレステロールを末梢組織から肝臓に運ぶ。「善玉コレステロール」と呼ばれる。
3. 排泄
- コレステロールは、胆汁酸に変換されて胆汁として腸管に分泌され、一部が再吸収されるが、残りは便中に排泄される。
コレステロールの健康への影響
適正なコレステロール値の重要性
- 適切なコレステロール濃度(総コレステロール値やLDL/HDLバランス)は、健康維持にとって不可欠である。
高コレステロール血症(Hypercholesterolemia)
- LDLコレステロールの増加は、動脈壁に蓄積してアテローム性動脈硬化を引き起こし、心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中)のリスクを高める。
低コレステロール血症
- コレステロールが不足すると、ホルモン合成や細胞膜機能に悪影響を及ぼす。
コレステロールを多く含む食品
コレステロールは動物性食品に多く含まれる:
- 卵黄
- 肉類(特に臓器:レバーなど)
- 魚類
- 乳製品
コレステロール調節のための対策
- 食事の改善
- 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸(魚やナッツに多い)を増やす。
- 食物繊維を多く摂取することで、腸内でのコレステロール吸収を抑制する。
- 運動
- 有酸素運動によりHDLコレステロールを増加させ、LDLコレステロールを低下させる。
- 薬物療法
- スタチンはHMG-CoA還元酵素を抑制し、コレステロール合成を減少させる。
- エゼチミブは腸管でのコレステロール吸収を抑制する。




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