がん抑制遺伝子は、細胞の異常な増殖や分裂を抑え、がんの発生を防ぐ役割を持つ遺伝子である。この遺伝子は、細胞周期の制御、DNA修復、アポトーシス(細胞の自然死)の誘導を通じて、正常な細胞機能の維持に寄与する。がん抑制遺伝子が変異や不活性化によって機能を失うと、がんが発生しやすくなる。
がん抑制遺伝子の主な機能
- 細胞周期の制御
- 細胞の分裂や増殖を厳密に調整し、異常な細胞増殖を抑える。
- 例:RB遺伝子(網膜芽細胞腫関連)。
- DNA修復
- 損傷したDNAを修復し、突然変異の蓄積を防ぐ。
- 例:BRCA1/BRCA2遺伝子(乳がんや卵巣がんで重要)。
- アポトーシスの促進
- 異常を持つ細胞や損傷が修復できない細胞を除去する。
- 例:p53遺伝子(「ゲノムの番人」と呼ばれる)。
代表的ながん抑制遺伝子
- p53遺伝子
- 細胞周期を停止させ、DNA修復やアポトーシスを誘導する重要な遺伝子。
- 多くのがんで変異が報告される。
- RB遺伝子(網膜芽細胞腫遺伝子)
- 細胞周期のG1/Sチェックポイントを制御し、不必要な分裂を防ぐ。
- BRCA1/BRCA2遺伝子
- 損傷したDNAの修復に関与し、乳がんや卵巣がんのリスク低減に寄与。
- APC遺伝子
- 細胞増殖シグナルを制御し、大腸がん(家族性大腸腺腫症)に関連。
がん抑制遺伝子が失活するメカニズム
がん抑制遺伝子の機能喪失は、主に以下のような原因で起こる:
- 遺伝子変異
- 塩基配列の突然変異により機能が失われる。
- 遺伝子の欠失
- 遺伝子全体が染色体から失われる。
- エピジェネティックな変化
- 遺伝子プロモーター領域のメチル化により、発現が抑制される。
- ウイルス感染
- ウイルスががん抑制遺伝子の機能を阻害する。
がん抑制遺伝子の異常による疾患例
- 乳がん・卵巣がん
- BRCA1/BRCA2遺伝子の変異。
- 網膜芽細胞腫
- RB遺伝子の欠失。
- 大腸がん
- APC遺伝子の変異。
がん抑制遺伝子とがん遺伝子の違い
| がん抑制遺伝子 | がん遺伝子 |
|---|---|
| 細胞増殖を抑制する役割を持つ。 | 細胞増殖を促進する役割を持つ。 |
| 機能喪失によってがんが発生する。 | 過剰な活性化や発現異常でがんが発生する。 |




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