Toll様受容体(Toll-like receptor, TLR)は、自然免疫系に属するパターン認識受容体(PRR)の一種で、病原体や損傷組織に由来する特定の分子を認識し、免疫応答を開始する役割を持つタンパク質である。
TLRは主に免疫細胞(マクロファージ、樹状細胞など)の表面に存在する。
特徴
細胞膜上に存在するTLR(例: TLR1, TLR2, TLR4, TLR5)は、細菌や真菌などの細胞外由来の分子を認識する。
主なTLRの種類と認識対象
| TLR番号 | 認識対象(PAMPs/DAMPs) | 例 |
|---|---|---|
| TLR2 | ペプチドグリカン、リポタイコ酸 | グラム陽性菌や真菌 |
| TLR3 | 二本鎖RNA(dsRNA) | ウイルス感染 |
| TLR4 | リポ多糖(LPS) | グラム陰性菌のエンドトキシン |
| TLR5 | フラジェリン(鞭毛タンパク質) | 鞭毛を持つ細菌 |
機能
- 病原体や組織損傷の認識
- 病原体や組織損傷に応じて特定の分子を検知し、免疫応答を開始する。
- シグナル伝達
- TLRが活性化すると、NF-κBなどの転写因子が活性化され、以下の免疫応答が誘導される:
- 炎症性サイトカイン(IL-1, TNF-αなど)の産生。
- インターフェロン(IFN)の分泌(特にウイルス感染時)。
- 抗菌物質の放出や適応免疫系の活性化。
- TLRが活性化すると、NF-κBなどの転写因子が活性化され、以下の免疫応答が誘導される:
- 自然免疫と適応免疫の連携
- TLRによるシグナルは、樹状細胞の成熟や抗原提示能を高め、適応免疫系(T細胞やB細胞)の活性化を促進する。




コメント