PETは、陽電子を放出する放射性医薬品を体内に投与し、その分布を画像化する核医学検査である。主にがんの診断、脳機能評価、心臓疾患の検査に用いられる。

PETの仕組み
- 放射性医薬品の投与
- 検査目的に応じた放射性医薬品を静脈注射する。
- 例:
- ¹⁸F-FDG(フルオロデオキシグルコース) → がんの診断(ブドウ糖代謝の評価)
- 体内での分布
- 投与した薬剤が特定の臓器や組織に集まり、代謝や血流の状態に応じて蓄積する。
- 陽電子の放出と検出
- 放射性医薬品が崩壊すると陽電子(β+)が放出され、周囲の電子と衝突して「消滅放射線(511keVのγ線)」を発生する。
- PETカメラがこのγ線を検出し、コンピュータで3D画像を再構成する。
PETの主な用途
- がんの診断・転移の評価(¹⁸F-FDG PET)
- がん細胞は正常細胞よりもブドウ糖を多く消費するため、¹⁸F-FDGが集積する。
- 早期発見や転移・再発の診断に有用。
- 脳機能の評価(PET脳シンチグラフィー)
- 認知症(アルツハイマー病、レビー小体型認知症)の診断
PETとSPECTの違い
項目 | PET | SPECT |
---|---|---|
放射性医薬品 | ¹⁸F, ¹¹C, ¹⁵O など | ¹²³I, ⁹⁹mTc など |
放射線の種類 | 陽電子(β+)→γ線 | 直接γ線 |
解像度 | 高い | PETより低い |
PETのメリット・デメリット
✅ メリット
- がんの早期発見や全身検索が可能
- 機能・代謝を詳細に評価できる(SPECTより高精度)
- PET/CT・PET/MRIで詳細な形態情報も取得可能
❌ デメリット
- 費用が高い(保険適用の範囲が限られる)
- 設備が限られる(専用のサイクロトロンが必要な場合もある)
- 検査薬の半減期が短く、使用できる時間が限られる
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