IgE(免疫グロブリンE)は、免疫系の抗体(免疫グロブリン)の一種で、アレルギー反応や寄生虫感染において中心的な役割を果たす。IgEは他の抗体と比較して血中濃度が非常に低いですが、特定の免疫応答において強い効果を発揮する。
IgEの特徴
- 分子構造
- IgEは単量体(1つの抗体分子)構造を持ち、2つの抗原結合部位を有している。
- Fc領域が肥満細胞や好塩基球の表面に結合する。
- 分布
- 血清中ではごく微量ですが、肥満細胞や好塩基球に結合して組織中に存在する。
- 産生
- IgEは、ヘルパーT細胞(Th2)から分泌されるサイトカイン(特にIL-4やIL-13)の刺激を受けたB細胞によって産生される。
IgEの機能
- アレルギー反応の媒介
- IgEはアレルギー反応(即時型過敏反応)を引き起こす主な因子である。
- アレルゲン(花粉、ダニ、食物アレルギーなど)に反応して肥満細胞や好塩基球が活性化され、以下の物質を放出する。
- ヒスタミン:血管拡張、浮腫、かゆみを引き起こす。
- ロイコトリエンやプロスタグランジン:炎症や気道収縮に関与する。
- 上記の反応が気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などの症状を引き起こす要因となる。
- 寄生虫感染の防御
- IgEは、特に**寄生虫(例:回虫や条虫)**に対する免疫応答で重要。
- 免疫系の調節
- IgEはアレルギー反応だけでなく、特定の免疫応答を調節する役割も有するが、その詳細はまだ完全には解明されていない。
臨床的意義
- アレルギー診断
- 血中の特異的IgE濃度(特定のアレルゲンに対するIgE)を測定することで、アレルギーの診断や原因特定に使用される。
- 例:花粉症、食物アレルギー、動物アレルギー。
- 血中の特異的IgE濃度(特定のアレルゲンに対するIgE)を測定することで、アレルギーの診断や原因特定に使用される。
- アレルギー治療
- IgEの作用を阻害することで、アレルギー症状を軽減する治療法がある。
- 抗IgE抗体(オマリズマブ): 気管支喘息や慢性蕁麻疹などの治療に用いられる。
- IgEの作用を阻害することで、アレルギー症状を軽減する治療法がある。
- 寄生虫感染症の評価
- IgEの上昇は寄生虫感染の可能性を示唆します。
IgEと他の抗体の比較
| 特徴 | IgE | IgG |
|---|---|---|
| 分布 | 主に肥満細胞や好塩基球に結合 | 血清、組織液、胎盤通過 |
| 濃度 | 血清中では非常に低い | 血清中で最も高い |
| 主な機能 | アレルギー反応、寄生虫感染防御 | 長期免疫、中和、補体活性化 |
| 関与する疾患 | アレルギー疾患、寄生虫感染 | 感染症、免疫不全症 |




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