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IgA

IgA(免疫グロブリンA)は、免疫系における重要な抗体の一つであり、主に粘膜の防御に特化している。
IgAは、外部環境と接触する部位(呼吸器、消化管、尿路、生殖器など)の粘膜表面で、病原体や毒素の侵入を防ぐ役割を果たす。

IgAの特徴

  1. 分子構造
    • IgAは主に二量体(2つの抗体分子が結合した形)として存在しますが、血清中では単量体の形でも存在する。
    • 二量体のIgAには、**分泌成分(Secretory Component, SC)**が結合しており、これが分解に対する耐性を高め、粘膜表面での安定性を維持する。
  2. 分布
    • 母乳、唾液、涙、気道分泌物、胃腸液など、外分泌液に豊富に含まれる。

IgAの機能

  1. 粘膜防御
    • IgAは粘膜表面で病原体や毒素に結合し、それらが粘膜細胞に付着するのを防ぐ(中和作用)。
    • 特にウイルスや細菌が粘膜を通じて感染するのを阻止する第一線の防御として機能する。
  2. 抗原の除去
    • IgAが結合した抗原は粘液や分泌物と共に体外へ排出されることで、感染のリスクを低減する。
    • 受動免疫の提供
      • 母乳中のIgAは、新生児の腸管粘膜を保護し、出生直後の免疫防御を手助けする。

    IgAの役割

    1. 粘膜免疫
      • IgAは呼吸器や消化管などの粘膜表面で、外部から侵入する病原体(ウイルス、細菌)を捕捉・中和し、感染を防ぐ。
    2. 局所免疫の維持
      • 粘膜局所で作用し、全身性の免疫反応を最小限に抑えることで、体の免疫システムの過剰活性を防ぐ。
    3. 母子免疫
      • 母乳中のIgAは、新生児の腸管を通じて病原体の感染を防ぐ。この受動免疫は、新生児が自らの免疫系を発達させるまでの重要な防御機構となる。

    臨床的意義

    1. 粘膜関連疾患
      • IgAの異常な産生や蓄積は、腎臓の免疫複合体疾患(IgA腎症)などの原因となることがある。

    IgAと他の抗体の比較

    特徴 IgA IgG IgM
    主な分布 粘膜、分泌液、母乳 血清、組織液、胎盤 血液、リンパ液
    分子構造 主に二量体(分泌型) 単量体 五量体
    主な機能 粘膜防御、抗原除去、炎症抑制 長期免疫、中和、補体活性化 初期免疫応答、補体活性化
    分泌液中の存在 高い 低い ほぼ存在しない

    まとめ

    IgAは、粘膜免疫の主役として体を外敵から保護する重要な抗体である。特に粘膜表面での感染防御、抗原の除去、新生児への免疫提供において重要な役割を果たす。

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