こんにちは。本講義では、最も重要なシグナル伝達システムのひとつである「Gタンパク質共役型受容体（GPCR）」を中心に、細胞内情報伝達のしくみを学びます。
1. GPCRとは？
Gタンパク質共役型受容体は、細胞膜を7回貫通する構造をもち、ホルモンや神経伝達物質などの情報を受け取って、Gタンパク質とともに細胞内にシグナルを伝える受容体です。
2. Gタンパク質を介した情報伝達の流れ
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アゴニスト（A）が受容体（R）に結合
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Gタンパク質（α、β、γの三量体）が活性化され、GDP→GTPに交換
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Gαサブユニット（またはβγサブユニット）が離脱し、効果器（E）に作用
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GαはGTPase活性によりGDPに戻り、不活性化 → βγと再結合
3. 情報伝達の代表的な経路（3タイプ）
Gs（アデニル酸シクラーゼ活性化系）
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効果器：アデニル酸シクラーゼ（AC）
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作用：ATP → cAMP → PKA（プロテインキナーゼA）活性化 → 生理反応
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代表受容体
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β₁・β₂受容体（交感神経）
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H₂受容体（胃酸分泌）
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D₁受容体（ドパミン）
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グルカゴン、5-HT₄、V₂、A₂受容体 など
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🟥 Gi（アデニル酸シクラーゼ抑制系）
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効果器：アデニル酸シクラーゼ
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作用：cAMP減少 → PKA活性低下 → 生理反応の「抑制」
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代表受容体：
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α₂受容体、M₂受容体、D₂受容体
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GABAB、5-HT₁、ADP受容体
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オピオイドμ・κ受容体など
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🟨 Gq（ホスホリパーゼC活性化系）
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効果器：ホスホリパーゼC（PLC）
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作用：
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PIP₂ → IP₃ + DAG に分解
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IP₃ → 小胞体からCa²⁺放出
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DAG → プロテインキナーゼC活性化
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代表受容体：
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α₁、M₁・M₃、H₁、V₁、AT₁、5-HT₂、TP受容体など
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✅ まとめ
| 経路 | Gタンパク質 | 効果器 | 主要産物 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| Gs系 | Gs | アデニル酸シクラーゼ | cAMP↑ → PKA | 活性化反応 |
| Gi系 | Gi | アデニル酸シクラーゼ | cAMP↓ → PKA抑制 | 抑制反応 |
| Gq系 | Gq | ホスホリパーゼC | IP₃ → Ca²⁺↑、DAG → PKC | 筋収縮・分泌など |
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