薬剤師国家試験出題項目」カテゴリーアーカイブ

1 電磁波の性質、物質との相互作用

電磁波は、電気と磁気両方の性質を有しており、振動する電場と磁場が直交する配置をとりながら空間を伝播していく。


電磁波の性質

1)波動性
 波動性については、振動数νと波長λにより表される。
振動数ν:1秒間あたりの波の数
波長λ:波の山から山又は谷から谷の距離

波の数を表す指標には、振動数及び波数(単位長さ当たりの波の数)があり、波数と波長の関係には以下の関係が成立する。

・波長と波数の関係

2)粒子性
粒子性については、エネルギーの塊と考えられ、そのエネルギーEについては、プランク定数hと振動数νにより下記のように表される。
E=h・ν
また、振動数νについては、光の速度cを波数λで割ることにより求めることができるため、エネルギーを下記の式で求めることもできる。
 E=h・c /λ

<参考:電磁波のエネルギーと波数、周波数、波長の関係>
 電磁波のエネルギーは、波の数(波数、周波数)が大きいほど、波の長さ(波長)が短いほど大きい。

3)光の速度
電磁波の速度(光速)は下記の式で表され、真空中において、波長、波数、周波数に関係なく、一定の値を示す。
C0=λν(λ:波長 ν:周波数)
光の速度(光速)は真空中に比べ、水中の方が遅い。


電磁波の種類と機器分析法

電磁波の波長とエネルギー及びその種類、機器に用いられる電磁波の種類とその特徴についてまとめる。


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1 分子間相互作用

分子間に働く相互作用には、静電的相互作用、ファンデルワールス力、双極子間相互作用、分散力、水素結合、電荷移動、疎水性相互作用など多くのものが存在する。


静電的相互作用 

静電的相互作用とは、静電場における点電荷間(広がりが極めて小さい電荷)の相互作用のことであり、その力については、クーロン力と呼ばれる。静電的相互作用の典型例に電荷をもつ分子やイオン間のイオン結合がある。

1)クーロン力とポテンシャルエネルギー
 クーロン力Fについては、下記の式で表される。

(Q、Q’:電荷、ε:媒質の誘電率、r:2つの電荷間の距離)
また、クーロン力に基づくポテンシャルエネルギーEについては、下記の式で表される。

上記の式よりクーロン力及びクーロン力に基づくポテンシャルエネルギーと2つの電荷間の距離との関係については、下記に示す関係が成立する。

クーロン力:rの2乗と反比例
ポテンシャルエネルギー:rと反比例


ファンデルワールス力 

ファンデルワールス力(ファンデルワールス引力)とは、電荷をもたない中性分子や原子の間に働く相互作用(引力)のことであり、共有結合やイオン結合に比べて6000分の1とかなり弱い結合である。ファンデルワールス力は、大きい分子ほど強く、その傾向は希ガスやハロゲンの物性(融点、沸点など)に反映される。分子が大きいほど凝集力は強まり、沸点や融点は上昇する。

1)ファンデルワールス力と分子間の距離
 分子間の距離が近づくにつれてファンデルワールス力(引力)は強くなるが、さらに距離が近くなるとファンデルワールス反発力が働くようになる。反発力が働く理由については、中性分子の閉鎖電子殻に他の電子を挿入できない、また、原子核のもつ正電荷が反発するためである。


双極子間相互作用 

1)結合の極性と双極子モーメント
双極子モーメントµとは分子内の電荷の偏りを定量的に表したものである。双極子モーメントは、電荷×距離(µ=Q×r)により求めることができ、その単位はD(デバイ)である。以下に酸素O2と一酸化炭素COの結合の極性及び双極子モーメントについて考察してみる。

例)酸素O2
酸素O2のような等核二原子分子では、結合電子が両方の原子に等しく分布して2原子間で等しく共有されている。このような場合では、分子内で電荷の偏りは生じないため、双極子モーメントは「0」となる。

例)一酸化炭素CO
一酸化炭素COは、電気陰性度の大きい酸素に電子が偏るため、酸素はマイナス、炭素はプラスに分極する。そのため、一酸化炭素における化学結合は完全な共有結合ではなく、一部イオン結合性を帯びる。この場合の双極子モーメントについては、正の値を示す。原子がどれほど電子を引きつけるかについては、電気陰性度で決まっており、電気陰性度差が大きい結合ほど、双極子モーメントが大きくなる。なお、分極した化学結合がもつ電気双極子を永久双極子という。

2)双極子モーメントと分子の構造
化学結合に極性があっても、分子構造が対照的である場合、分子全体として双極子モーメントが「0」となる場合がある。
例)四フッ化炭素(CF4)、四塩素炭素(CCl4)、二酸化炭素(CO2

3)双極子間の相互作用
双極子間の相互作用には、「永久双極子−永久双極子相互作用」、「イオン−双極子相互作用」、「双極子−誘起双極子相互作用」がある。

(1)永久双極子−永久双極子相互作用
永久双極子間で働く相互作用のことであり、双極子の位置が固定されている場合と、双極子の位置が固定されていない場合では、ポテンシャルエネルギーは以下のように異なる。
結晶構造のように双極子の位置が固定されている場合
→距離rの3乗に反比例する
気体や液体のように双極子の位置が固定されていない場合
→距離rの6乗に反比例する。

(2)イオン−双極子相互作用
イオンと双極子の間で働く相互作用のことである。

(3)双極子−誘起双極子相互作用
双極子と誘起双極子に間で働く相互作用のことである。

<参考:誘起双極子について>
極性分子を中性分子に近づけると中性分子に電気的な偏りが生じ、双極子が誘起されることがあるこの現象により生成した双極子を誘起双極子という。


分散力

分散力とは、中性分子間で働く引力であり、ファンデルワールス引力の1つである。分散力は、別名ロンドン力、ロンドン分散力ともいわれる。

<分散力の概要>
無極性分子では、通常、電荷の偏りはないが、瞬間的に電子の偏りが生じることがある。この瞬間的に生じた電子の偏りにより双極子が誘発され、その双極子が他方の分子にも双極子を生み出す。こうしてできる二つの双極子間で働く引力が分散力に該当する。

1)分散力と分子間距離の関係
 分散力は、分子間の近傍で作用し、そのポテンシャルエネルギーは分子距離の6乗に反比例する。一方、分子同士が接近しすぎると反発力が作用し、そのポテンシャルエネルギーは分子距離の12乗に反比例する。


水素結合

酸素、窒素、硫黄、フッ素などは電気陰性度が大きく、これらに結合している水素原子は、正電荷を帯やすい。これら正電荷を帯びた水素原子は電気陰性度の高い原子(酸素、窒素、硫黄、フッ素など)と相互作用を起こしやすい。

上記の図のようにNHとCOの間に形成される結合を水素結合という。

1)水素結合と沸点
①水分子の沸点
 水分子は、分子量の割に沸点が高い。その理由として、水分子の間では、水素結合が形成されているからである。

②水分子とフッ化水素(HF)の沸点の比較
水分子は、フッ化水素(HF)に比べて沸点が高い。Fは電気陰性度が高いことから、HFのHは正電荷を帯やすく、HF間では水よりも強い水素結合が形成される。このことから、HFの方が沸点が高くなりそうだが、HFで形成される水素結合の数が2本であるのに対し、水分子間(液体)では、水素結合が3本形成されるため、水分子の方が沸点が高くなる。

2)水素結合と溶解性
 水素結合能のない炭化水素は水に溶けにくいが、アルコール(ヒドロキシ基を有する)やアミン(アミノ基を有する)は水分子と水素結合を形成するため水に溶けやすい。

3)生体高分子における水素結合
 生体高分子において水素結合は重要な役割を果たす。
例)DNA
DNAは、2重らせん構造をしており、2本の鎖をつなぐ力はアデニン−チミン及びグアニン−シトシンの間の水素結合である。

例)タンパク質
タンパク質はアミノ酸がペプチド結合(−CO−NH−)で繋がったポリペプチドであるが、離れているペプチド結合のNHとCOが水素結合し、二次構造を形成することがある。
①αヘリックス
NHとCOがN−H…O=C型の水素結合により空間的に結びついて螺旋構造を形成したもの
②βシート
2本のポリペプチド鎖が並行し、その間にN−H…O=C型の水素結合により架橋された構造を形成したもの


疎水性相互作用

水中の疎水性分子は水を避けて集まる性質がある。その要因として、疎水性相互作用が働いていると考えることができる。疎水性相互作用には、疎水性分子表面からの水和水排除効果(水分子のエントロピー増大効果)が関与している。

<疎水性相互作用について>
疎水性分子を水中に入れると疎水分子が集合する。この現象は、疎水分子間に相互作用が働き、疎水分子が集合しているように見えるが、実際は、疎水分子表面にある水分子が自由になること(水分子のエントロピーの増大)が関与している。

熱力学的には、一般にエントロピー(乱雑さ)が増大する方向に反応が進行するため、疎水性分子を水に入れると、水のエントロピー(乱雑さ)が増大する(疎水性分子が集合する)方向に反応が進行する。

1)疎水性相互作用の例
①:両親媒性物質(界面活性剤、脂肪酸など)を水に添加した場合
水に両親媒性物質を添加するとある濃度以上でミセルが形成される。また、界面活性剤のに分子膜が球状になったベシクルが形成されることもある。

ミセルが形成されると、炭化水素部分にはファンデルワールス力が働きミセル構造はより安定化する。


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4 共役と共鳴の概念

共役

 二つ以上の多重結合が互いに一つ単結合を挟んで相互作用し合っている状態における結合を共役しているといい、また、そのような結合をもつ分子を共役系という。

1)共役系で認められる現象
 共役系では多重結合に存在するπ電子が単結合を通して相互作用し、非局在化している。そのため、分子はより安定な状態となる。また、結合間の距離にも変化が認められ、多重結合の結合距離は伸び、単結合の結合距離は短くなる。その理由として、多重結合を形成していたπ電子が単結合側に移行し多重結合は単結合性を帯び、単結合は多重結合性を帯びるためである。


共鳴

共鳴とは、電子や電荷がπ軌道を介して分散することである。共鳴が認められる場合、構造式を1種類に決めることができない。そのため、電子が非局在化している分子を表すためには、複数の構造式が必要となる。

<共鳴構造の例>
それぞれの共鳴構造では、原子の位置は変わらず、電子の位置のみが異なる。

<共鳴構造でない例>


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3 分子軌道の基本概念

分子軌道の基本概念

原子価結合法では、原子間に1対の価電子が共有されることにより結合が生じると考えるが、この方法では、複雑な分子間の結合を説明することができない。そこで原子価結合法とは異なる方法で、分子間結合を説明する必要がある。その方法として、分子軌道法がある。

1)分子軌道法
 分子軌道法では、分子中にある電子は特定の原子に属しておらず、分子を構成するすべての原子核のまわりに広がっていると考える。ここでは、水素分子、酸素分子を例に出して説明する。

例)水素分子
水素分子では、下記のような分子軌道を形成しており、エネルギー準位の低い方から電子が配置される。

分子軌道については、結合性分子軌道(もとの軌道よりエネルギーが低い軌道)、反結合性分子軌道(もとの軌道よりエネルギーが高い軌道)が形成される。水素分子でいうと、σ1sが結合性分子軌道、σ1sが反結合性軌道に該当する。分子軌道における電子の配置については、原子の場合と同様にパウリの排他原理およびフント則に従う。

例)酸素分子
酸素分子では、下記のような分子軌道を形成している。


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2 軌道の混成

軌道の混成

分子を形成する結合について考える際、単純な原子軌道を用いて説明できないことが多い。こうした問題を解決する目的で、軌道の混成という概念が導入された。軌道の混成を考えるにあたっては、エネルギー準位の異なる複数の原子軌道を混ぜ合わせて、同じエネルギー準位の軌道を形成する混成モデルを用いる。

1)sp混成軌道
例)ベリリウム水素化物(BeH2
ベリリウム水素化物は、下記のような直線構造をしている。

ベリリウムは2s軌道に2個の電子を有しており、不対電子を有していない。上記のように2つの結合を形成するためには、不対電子を持つ原子軌道を2つ用意する必要がある。
そこで下記のように、2s軌道の電子を1つp軌道に移行させてみる。

上記のように2s軌道の電子を1つp軌道に移行させてみると、不対電子を持つ原子軌道を2つ準備することができ、ベリリウムは2つの結合を形成できるようになる。このとき、s軌道とp軌道を混ぜ合わせた同じエネルギー準位の軌道であるsp混成軌道が形成される。
形成されたsp混成軌道は、互いに反対方向を向いていることから、ベリリウムと2つの水素間で形成されるσ結合の角度は180°になる(直線構造となる。)。

2)sp2混成軌道
例)三塩化ホウ素(BCl3
三塩化ホウ素(BCl3)は、下記のような平面三角形をしている。

ホウ素は2s軌道に2個、2p軌道に1個の電子を有しており、不対電子を1個有している。上記のように3つの結合を形成するためには、不対電子を持つ原子軌道を3つ用意する必要がある。
そこで下記のように、2s軌道の電子を1つp軌道に移行させてみる。

上記のように2s軌道の電子を1つ2p軌道に移行させてみると、不対電子を持つ原子軌道を3つ準備することができ、ホウ素は3つの結合を形成できるようになる。このとき、s軌道とp軌道2つを混ぜ合わせた同じエネルギー準位の軌道であるsp2混成軌道が形成される。
形成されたsp2混成軌道は、互いに120°の角度をなしているため、三塩化ホウ素(BCl3)は平面三角形構造をしている。

例)エテン(エチレン:C2H4
エテン(エチレン:C2H4)は、下記のような形をしている。

炭素は2s軌道に2個、2p軌道に2個の電子を有しており、不対電子を2個有している。炭素−水素間で2本の結合、炭素−炭素間で2重結合を形成するためには、不対電子を持つ原子軌道を3つ用意する必要がある。
そこで下記のように、2s軌道の電子を1つ2p軌道に移行させてみる。

上記のように2s軌道の電子を1つp軌道に移行させてみると、不対電子を持つ原子軌道を4つ準備することができ、炭素は3つのσ結合を形成できるようになり、p軌道の電子により2重結合を形成できるようになる。

このとき、s軌道とp軌道2つを混ぜ合わせた同じエネルギー準位の軌道であるsp2混成軌道が形成される。

・芳香族性を示す分子を構成する原子の混成軌道
芳香族性を示す分子を構成する原子の混成軌道は、sp2混成軌道となる。

<参考:芳香族性>
芳香属性を示す化合物は、ヒュッケル則を満たす。
<ヒュッケル則>
・環全体が平面構造で、環を構成しているすべての原子がp軌道をもつ(環を構成しているすべての原子がsp2混成軌道をとる)
・4n+2個のπ電子を有する(n=0、1、2、…)

 

3)sp3混成軌道
例)メタン(CH4
メタン(CH4)は、下記のような正四面体構造をしている。

炭素は2s軌道に2個、2p軌道に2個の電子を有しており、不対電子を2個有している。上記のように4つのσ結合を形成するためには、不対電子を持つ原子軌道を4つ用意する必要がある。
そこで下記のように、2s軌道の電子を1つ2p軌道に移行させてみる。

上記のように2s軌道の電子を1つ2p軌道に移行させてみると、不対電子を持つ原子軌道を4つ準備することができ、炭素は4つの結合を形成できるようになる。このとき、s軌道とp軌道3つを混ぜ合わせた同じエネルギー準位の軌道であるsp3混成軌道が形成される。

<アンモニアについて>
アンモニア中の窒素については、下記のようにsp3混成軌道を形成し、水素と3本のσ結合を形成する。

<参考:混成軌道の見極め方>
国家試験では、分子内の原子における混成軌道について問われることがあります。
混成軌道に関する問題については次のように答えを導くようにしましょう。
①脂肪族であるか、芳香族であるか確認する。

②脂肪族の場合、結合している原子の数及びローンペアを数える。
2つ→sp混成軌道
3つ→sp2混成軌道
4つ→sp3混成軌道

③芳香族の場合、芳香属性に関与している原子はsp2混成軌道


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1 化学結合の成り立ち

化学結合の概要

化学結合とは、複数個の原子が集まって物質を構成する際、互いの原子間を結びつけるもののことである。化学結合を形成するためには、安定化(エネルギーの低下)が不可欠であるとされている。化学結合を形成する際、原子は電子を失ったり、得たり、共有することが認められる。
化学結合は、イオン結合共有結合金属結合に大別される。
また、化学結合には、電気陰性度が密接に関係しており、簡易的には次のように表すことができる。

イオン結合
電気陰性度が小さい原子と電気陰性度が大きい原子間で形成される

共有結合
電気陰性度が大きい原子間で形成される

金属結合
電気陰性度が小さい原子間で形成される

実際の物質中の化学結合は、いずれかの純粋な形ではなく、混じり合っていることが多い。


イオン結合

イオン結合については、塩化ナトリウムを例に考える。ナトリウムはNaとなり、安定な状態となる。また、塩素はハロゲンでありClとなり、安定な状態となる。これらは互いに逆の符号の電荷をもつため、両者間にはクーロン力(静電相互作用)が働いて、エネルギーが低下し、イオン結合が形成される。


共有結合

陰性元素同士の場合、イオン結合のように片方が陽イオン、もう片方が陰イオンとなり結合するのは、陰性元素が陽イオンとなる必要があるため、エネルギー的に不安定である。そのため、陰性元素同士の場合には、電子を共有することで、結合を形成し、分子となる。共有結合を考える方法には、主に2つの量子力学的方法である原子価結合法と分子軌道法がある。

1)原子価結合法
 原子間の結合は、不対電子(スピンが対になっていない電子)をもつ原子軌道が不対電子をもつ別の原子軌道と重なり合ってできると考える。

例)H2(水素分子)の場合
2つの水素原子A、Bは互いに1s軌道に1つの電子を有している(不対電子を1個有している)。
これらが近づくと互いに電子を共有し、結合を形成する(下図参照)。

2)分子軌道法
分子軌道法については、「分子軌道の基本概念」にて詳細を確認


配位結合

配位結合は、共有結合の1種である。通常の共有結合と異なり、一方の原子が結合を形成するために電子対を提供する。

例)アンモニウムイオン(NH4

丸で囲われた電子対は、窒素より提供されたものであり、プロトンから電子は提供されていない。配位結合は、ローンペアを提供するもの(ルイス塩基)とローンペアを受け取るもの(ルイス酸)の間で形成される。配位結合は一度形成されてしまうと、共有結合と見分けることができないため、配位結合については、共有結合の一種と考えることもできる。


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0 原子の成り立ちとその特徴

原子

物質の最小単位を原子という。原子は、原子核と電子で構成されており、原子核は正電荷をもつ陽子と電荷を持たない中性子で構成されている。原子は、陽子の数により番号が振り分けられており、その番号を原子番号という。また、原子には質量があり、その質量を質量数で表す。原子の質量についてはほとんどが陽子と中性子の数によって決定されることから、質量数は陽子の数と中性子の数の和で表される。

<参考:質量数について>
原子は、陽子、中性子、電子で構成されているが、その質量については、陽子と中性子の和で表されます。その理由として、電子については、陽子や中性子に比べ質量がごく微量であるからとされている。


原子軌道の種類 

1)原子軌道と量子数
原子軌道を特定するためには、三つの量子数を指定する必要がある。それら量子数を以下に示す。

(1)主量子数n
主量子数nは、電子殻を表す。
n=1:K殻、n=2:L殻、n=3:M殻、n=4:N殻 …
核に近い殻をK殻とし、核から遠ざかるごとにL殻→M殻→N殻→となる。
殻には、最大2×n2の電子が収容される。

(2)方位量子数l
方位量子数lは、軌道の形を表す。
l=0:s軌道(球対称)
l=1:p軌道(軸対称)
l=2:d軌道

(3)磁気量子数m
磁気量子数mは、軌道の方向を表す。
s軌道:m=0(軌道の数:1個)
p軌道:m=-1、0、+1(軌道の数:3個)
d軌道:m=-2、-1、0、+1、+2(軌道の数:5個)

<参考:方位量子数lと磁気量子数m>


電子のスピン

1)電子のスピン
電子のスピンとは、電子の自動運動であり、不対電子を有する原子・分子において認められる。
原子のもつ軌道電子状態は、主量子数n、方位量子数l、磁気量子数mによって決まっているが、これら3つの指標だけでは、核や電子のスピン状態をとらえ、解釈することは難しい。そこでスピン量子数を導入する必要がある。


パウリの排他原理、フント則

1)パウリの排他原理
パウリの排他原理とは、原子中の電子はそれぞれ主量子数n、方位量子数l、磁気量子数m、スピン量子数msが異なるという原理である。要は、原子中に同じ状態の電子は存在しないことを表している。このことから、「1つの軌道には、電子を2個まで収容でき、電子が2個収容される場合には、それぞれのスピンは逆向きである。」といえる。

パウリの排他原理については、原子中に同じ状態の電子が存在しないことを表している。このことから、「1つの軌道には、電子を2個まで収容でき、電子が2個収容される場合には、それぞれのスピンは逆向きである。」とされているが、なぜ、そのようなことが言えるのかについては以下の図より確認することができる。

①の場合、同じ軌道に同じ方向の電子が収容されている
→n、l、m、msが同じ電子が存在する。
②の場合、同じ軌道に異なる方向の電子が収容されている
→n、l、mが同じで、msが異なる電子が存在する。
③の場合、同じ軌道に同じ方向の電子と異なる方向の電子が存在する
→n、l、m、msが同じ電子が存在する。

①、②、③のうち、パウリの排他原理が成立するのは、②の場合だけであることから、「1つの軌道には、スピンを逆向きにして、電子を2個まで収容できる。」となる。

2)フントの規則
フントの規則とは、同じエネルギーをもつ複数の軌道があれば、電子はそれらの軌道に1個ずつスピンを平行にして入るとき安定な電子配置が得られることを表している。


多電子原子のエネルギー準位と電子配置

1)軌道のエネルギー準位
 軌道のエネルギー準位は、主量子数、方位量子数に依存し、その順番は、下記のようになっている。
 1s<2s<2p<3s<3p<4s<3d<4p<5s …

2)原子の電子配置
ここでは、基底状態における酸素原子を例にその電子配置について確認する。
例)酸素原子の電子配置(数字については、電子の収容の順番を示している。)

基底状態における原子の電子配置については以下のように考えることができる。
①:エネルギーの低い軌道から電子が配置される。
1s→2s→2p→…の順に電子が配置される。

②:同じエネルギーをもつ複数の軌道があれば、電子はそれらの軌道に1個ずつスピンを平行にして入る(フント則)。
2p軌道に電子が収容される際、2px、2py、2pzの順に同じ向きの電子が収容される。

③:1つの軌道には、電子を2個まで収容でき、電子が2個収容される場合には、それぞれのスピンを逆向きである(パウリの排他原理)。
 1s軌道に電子が逆向きで2個収容されたあと、2s軌道に電子が収容される。


元素の周期的性質

周期表はよく似た性質をもつ元素が周期的に現れることを表している。周期性の決定因子は、価電子を収容する最外殻の電子配置である。周期性は、価電子の軌道がd軌道やf軌道とする遷移元素に比べ、s軌道やp軌道とする典型元素で強く現れる。

遷移元素:周期表の3〜11族に属する元素
典型元素:周期表の1、2族または12〜18族に属する元素

<参考:元素の諸性質について>

(1)イオン化エネルギー
イオン化エネルギーとは、電子を原子から完全に引き離して1価の陽イオンにするために必要なエネルギーのことであり、小さいほど、陽イオンになりやすい。一般に周期表の右上ほどイオン化エネルギーは大きい。

(2)電子親和力
電子親和力とは、電子を原子に付加して陰イオンにするときに放出されるエネルギーのことであり、大きいほど、陰イオンになりやすい。一般に周期表の右上ほど大きい。

(3)電気陰性度
電気陰性度とは、化学結合する2原子間の共有電子対を自らの原子に引き寄せる能力のことであり、原子半径が小さいと電気陰性度は大きい。一般に周期表の右上ほど大きい。

(4)原子半径
原子半径は原子の大きさの目安となる。一般に周期表の左下ほど大きい。


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