C型肝炎

C型肝炎は、C型肝炎ウイルス（HCV）の感染によって引き起こされる感染症である。主に肝臓に影響を及ぼし、慢性肝疾患や肝硬変、肝がんの原因となることがある。

原因

• 病原体: C型肝炎ウイルス（HCV）はRNAウイルスの一種で、複数の遺伝子型（ジェノタイプ）がある。
• 感染経路：
  1. 血液感染：汚染された注射針や医療器具の使用、輸血、刺青、ピアス。
  2. 母子感染：感染した母親から子への垂直感染。
  3. 性行為感染：主に血液を伴う接触がある場合。

症状

急性C型肝炎

• 感染後潜伏期を経て、一部の感染者に以下の症状が現れる場合があります：
  • 発熱、倦怠感
  • 食欲不振、吐き気
  • 黄疸（皮膚や目が黄色くなる）
  • 濃い尿、淡い便
• 急性期の症状が現れることは少なく、多くの場合無症状である。

慢性C型肝炎

• 急性感染の約70～80％が慢性化し、10～20年かけて進行する。
• 初期段階では無症状ですが、以下の症状が出ることがある：
  • 持続的な疲労感
  • 腹部の不快感
  • 関節痛や皮膚の異常

合併症

• 慢性肝炎が進行すると、以下の深刻な病態を引き起こす可能性があります：
  • 肝硬変：肝臓が線維化し、正常機能が失われる。
  • 肝細胞がん：C型肝炎ウイルスは肝がんの主要な原因の一つ。

診断

1. 血液検査：
   • 抗HCV抗体検査: HCV感染の有無をスクリーニング。
   • HCV RNA検査: ウイルス量を確認し、感染の確定診断に使用。
2. 肝機能検査:
   • ALTやASTなどの肝酵素値の上昇をチェック。
3. 画像診断：
   • 超音波検査、CTスキャン、MRIなどで肝臓の状態を評価。
4. 肝生検：
   • 肝臓の組織を直接調べることで、炎症や線維化の程度を確認。

治療

抗ウイルス療法

• 現在、**直接作用型抗ウイルス薬（DAA）**が標準治療となっている。
  • 主要な薬剤例:
    • ソホスブビル（Sofosbuvir）
    • レジパスビル（Ledipasvir）
    • ダクラタスビル（Daclatasvir）

合併症の管理

• 肝硬変や肝がんの進行を防ぐため、定期的な検査とフォローアップが必要である。
• 肝臓に負担をかけるアルコールや薬物の摂取を避けることが推奨される。

予防

• 感染予防:
  • 血液感染を防ぐため、清潔な医療器具を使用。
  • タトゥーやピアスの際は衛生管理の徹底。
• 感染者の対応:
  • 家族や医療従事者への感染を防ぐため、適切な血液取り扱いを行う。
• ワクチン:
  • 現在、C型肝炎ウイルスに対するワクチンは存在しない。

まとめ

C型肝炎は早期診断と治療により完治が可能な病気ですが、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性がある。抗ウイルス薬の進歩により治療成績は飛躍的に向上しており、医療機関での適切な管理が重要である。また、感染拡大を防ぐために感染予防の徹底と早期検査が重要である。